家道訓 / 巻之一・総論上
一わが身朝夕飮食の俸養はかろくして、身をば勞動すべし。奢りて酒食の美をこのみ、怠りて身を安逸にすべからず。おごらず怠らず、かくの如くすれば、第一德を養ひ、次に身を養ひ、次に財をやしなふ、三の益あり。飮食淡薄にして身を勞動すれば、食氣滯らず、氣血めぐり、脾胃やぶれずして生を養ふによろし。又身を勞すれば、艱難勞苦にたへて、忠孝の行、學問藝術を習ふにつとめよし。もし身體を勞動せずして安逸にならへば、艱難に不堪して、忠孝のつとめをくるしみ、學問技藝におこたり、殊に士は武勇のたしなみなく、軍陣にて艱苦にたへず、病おこり身よわりて用にたゝず、武勇をはげみがたし。およそ心は安靜にし、身は勞動せしむべし。
新字:一わが身朝夕飲食の俸養はかろくして、身をば労動すべし。奢りて酒食の美をこのみ、怠りて身を安逸にすべからず。おごらず怠らず、かくの如くすれば、第一徳を養ひ、次に身を養ひ、次に財をやしなふ、三の益あり。飲食淡薄にして身を労動すれば、食気滞らず、気血めぐり、脾胃やぶれずして生を養ふによろし。又身を労すれば、艱難労苦にたへて、忠孝の行、学問芸術を習ふにつとめよし。もし身体を労動せずして安逸にならへば、艱難に不堪して、忠孝のつとめをくるしみ、学問技芸におこたり、殊に士は武勇のたしなみなく、軍陣にて艱苦にたへず、病おこり身よわりて用にたゝず、武勇をはげみがたし。およそ心は安静にし、身は労動せしむべし。
書き下し
一わが身朝夕飲食の俸養はかろくして、身をば労動すべし。奢りて酒食の美をこのみ、怠りて身を安逸にすべからず。おごらず怠らず、かくの如くすれば、第一徳を養ひ、次に身を養ひ、次に財をやしなふ、三の益あり。飲食淡薄にして身を労動すれば、食気滞らず、気血めぐり、脾胃やぶれずして生を養ふによろし。又身を労すれば、艱難労苦にたへて、忠孝の行、学問芸術を習ふにつとめよし。もし身体を労動せずして安逸にならへば、艱難に不堪して、忠孝のつとめをくるしみ、学問技芸におこたり、殊に士は武勇のたしなみなく、軍陣にて艱苦にたへず、病おこり身よわりて用にたたず、武勇をはげみがたし。およそ心は安静にし、身は労動せしむべし。
現代語訳
自分の身の朝夕の飲食の養いは軽くして、身は働かせるべきです。おごって酒食の美味を好み、怠けて身を安逸にしてはいけません。おごらず怠けず、このようにすれば、第一に徳を養い、次に身を養い、次に財を養うという三つの益があります。飲食を淡泊にして身を働かせれば、食べたものの気が滞らず、気血がめぐり、脾胃が損なわれず、生を養うのによいのです。また身を働かせれば、艱難辛苦に耐えて、忠孝の行いや、学問技芸を習うことによく努められます。もし体を働かせずに安逸に慣れれば、艱難に耐えられず、忠孝の務めを苦しみ、学問や技芸を怠り、とりわけ武士は武勇のたしなみがなく、戦陣で艱苦に耐えられず、病が起こり身が弱って役に立たず、武勇に励むことができません。およそ心は安静にし、身は働かせるべきです。
解説
この章句が説くこと
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