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家道訓 / 巻之一・総論上

一四民ともに、常に家業をつとめておこたらず、其の上、儉約にして諸事つゞまやかにし、家事におろそかなるべからず。勤むると儉なるとの二は、是家ををさむる要法なり。勤儉の二をつねに行ふべし。一家に居ては、陰德を行ふべし。心に仁をたもち、身に善を行ひて、其の善を人の知らんことをもとめざるを陰德といふ。まどしき人も、其の力に應じて善を行ふべし。うゑたる者に食をあたへ、こゞえたる者をあたゝかにし、かわける者に湯水を與へ、老いたる者をたすけ、幼をいつくしみ、病人をいたはり、人の子弟に孝弟をすゝめて行はしめ、人の善と才能をほめすゝめ、人のあやまりをそしらず、人の惡をかくしてあらはさず、人の過惡をいさめ、道にあるいばら、からたち、くひなど、人を害する物を去り、道におちたる物をひろひて、其ぬしをたづねて返し、いける物を少しなりとも故なくしてみだりに殺さず、つねにかくの如くにして陰德を行ふべし。

新字:一四民ともに、常に家業をつとめておこたらず、其の上、倹約にして諸事つゞまやかにし、家事におろそかなるべからず。勤むると倹なるとの二は、是家ををさむる要法なり。勤倹の二をつねに行ふべし。一家に居ては、陰徳を行ふべし。心に仁をたもち、身に善を行ひて、其の善を人の知らんことをもとめざるを陰徳といふ。まどしき人も、其の力に応じて善を行ふべし。うゑたる者に食をあたへ、こゞえたる者をあたゝかにし、かわける者に湯水を与へ、老いたる者をたすけ、幼をいつくしみ、病人をいたはり、人の子弟に孝弟をすゝめて行はしめ、人の善と才能をほめすゝめ、人のあやまりをそしらず、人の悪をかくしてあらはさず、人の過悪をいさめ、道にあるいばら、からたち、くひなど、人を害する物を去り、道におちたる物をひろひて、其ぬしをたづねて返し、いける物を少しなりとも故なくしてみだりに殺さず、つねにかくの如くにして陰徳を行ふべし。

書き下し

一四民ともに、常に家業をつとめておこたらず、其の上、倹約にして諸事つづまやかにし、家事におろそかなるべからず。勤むると倹なるとの二は、是家ををさむる要法なり。勤倹の二をつねに行ふべし。一家に居ては、陰徳を行ふべし。心に仁をたもち、身に善を行ひて、其の善を人の知らんことをもとめざるを陰徳といふ。まどしき人も、其の力に応じて善を行ふべし。うゑたる者に食をあたへ、こごえたる者をあたたかにし、かわける者に湯水を与へ、老いたる者をたすけ、幼をいつくしみ、病人をいたはり、人の子弟に孝弟をすすめて行はしめ、人の善と才能をほめすすめ、人のあやまりをそしらず、人の悪をかくしてあらはさず、人の過悪をいさめ、道にあるいばら、からたち、くひなど、人を害する物を去り、道におちたる物をひろひて、其ぬしをたづねて返し、いける物を少しなりとも故なくしてみだりに殺さず、つねにかくの如くにして陰徳を行ふべし。

現代語訳

士農工商の四民ともに、常に家業を努めて怠らず、そのうえ倹約して諸事を切り詰め、家事をおろそかにしてはいけません。勤めることと倹約することの二つは、家を治める要法です。勤倹の二つを常に行うべきです。家にいては陰徳を行うべきです。心に仁を保ち、身に善を行って、その善を人に知られることを求めないのを陰徳といいます。貧しい人も、その力に応じて善を行うべきです。飢えた者に食べ物を与え、凍えた者を暖め、渇いた者に湯水を与え、老いた者を助け、幼い者を慈しみ、病人をいたわり、人の子弟に孝弟を勧めて行わせ、人の善と才能をほめて励まし、人の過ちをそしらず、人の悪を隠して表に出さず、人の過ちや悪を諫め、道にある茨やからたち、杭など人を害するものを取り除き、道に落ちている物を拾って持ち主を探して返し、生き物を少しでも理由なくむやみに殺さず、常にこのようにして陰徳を行うべきです。

解説

家を治める要法を勤と倹の二つにまとめたうえで、人に知られることを求めない善行、陰徳を勧めています。挙げられている例は、飢えた人に食べ物を与える、老人や病人をいたわる、人の才能をほめる、道の茨や杭を取り除く、落とし物を持ち主に返すなど、どれも身近で小さなことです。貧しい人も力に応じてできるというのがこの教えの要点です。道のごみを拾う、人の良いところを伝えるといった日常の小さな善意が、陰徳の実践になります。

この章句が説くこと

陰徳勤倹善行家仁

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