孫子 / 用間篇
微哉!微哉!無所不用間也。間事未發而先聞者,間與所告者皆死。
新字:微哉!微哉!無所不用間也。間事未発而先聞者,間与所告者皆死。
書き下し
微なるかな、微なるかな。間を用いざる所無し。間事未だ発せずして先ず聞こゆれば、間と告げられし所の者と皆死す。
現代語訳
微妙のきわみである。間者を使わない場面はない。間者の仕事が実行される前に漏れてしまえば、間者もそれを聞いた者も、ともに死ぬ。
解説
情報活動における秘密保持の厳しさを説いた一段である。漏らした者だけでなく、聞いた者も死ぬ——連座の原則が、情報の扱いの重さを物語る。現代の組織でこの厳格さをそのまま持ち込むことはないが、原理は生きている。まだ実行していない計画が外に漏れれば、計画そのものが死ぬ。人事、買収、価格改定——いずれも発表の順序と時期が決まっている情報で、漏れた時点で選択肢が消える。誰に、いつ、何を伝えるかの設計は、計画の中身と同じくらい重要である。
この章句が説くこと
機密漏洩情報管理順序計画
関連する章句
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易経・繋辞上「戸庭を出でず、咎无し。」子曰く、「乱の生ずる所は、則ち言語以て階(きざはし)と為る。君密ならざれば則ち臣を失い、臣密ならざれば則ち身を失い、幾事(きじ)密ならざれば則ち害成る。是を以て君子は慎密にして出ださざるなり」と。子曰く、「易を作る者は其れ盗を知れるか。易に曰く、負い且つ乗る、寇(あだ)の至るを致す、と。負うとは、小人の事なり。乗るとは、君子の器なり。小人にして君子の器に乗る、盗は之を奪わんと思う。上慢り下暴(あら)ければ、盗は之を伐たんと思う。蔵(おさ)むるに慢れば盗を誨(おし)え、容を冶(つく)れば淫を誨う。易に曰く、負い且つ乗る、寇の至るを致すとは、盗を招くなり」と。
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孫子・九地篇是の故に政挙がるの日、関を夷らげ符を折り、其の使を通ずること無く、廊廟の上に厲しくして、以て其の事を誅む。敵人開闔せば、必ず亟やかに之に入り、其の愛する所を先にし、微かに之と期し、墨を践みて敵に随い、以て戦事を決す。是の故に始めは処女の如くにして、敵人戸を開き、後には脱兎の如くにして、敵拒ぐに及ばず。
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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『長短経』将体軍誌に曰く、将の謀は密ならんことを欲し、士衆は一ならんことを欲し〔将衆一体の如きなり〕、敵を攻むるは疾からんことを欲す。将の謀密なれば、則ち奸心閉ず。士衆一なれば、則ち群心結ぶ〔結ぶこと一の如きなり〕。敵を攻むること疾ければ、則ち詐設くるに及ばず。軍に此の三者有れば、則ち計奪われず。将の謀泄るれば、則ち軍に勢い無し。外を以て内を闚えば、則ち禍制せず〔窺は、見なり。謀泄るれば、則ち外は己が情の虚実を見る。其の禍制すべからざるなり〕。財営に入れば、則ち衆奸会す〔凡そ軍を為すに、外人をして財貨を以て営内に入らしむれば、則ち奸謀奄ち其の中心に集まる〕。将に此の三者有れば、軍必ず敗る。
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孫子・用間篇故に三軍の事は、間より親きは無く、賞は間より厚きは無く、事は間より密なるは無し。
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呂氏春秋・精諭②勝書、周公旦に説きて曰く、「廷小なるに人衆し。徐言すれば則ち聞こえず、疾言すれば則ち人之を知らん。徐言せんか、疾言せんか。」周公旦曰く、「徐言せよ。」勝書曰く、「此に事有り、而るに之を精言すれば而ち明らかならず、之を言うこと勿くんば而ち成らず。精言せんか、言うこと勿からんか。」周公旦曰く、「言うこと勿かれ。」故に勝書は能く不言を以て説き、周公旦は能く不言を以て聽く。此を之れ不言の聽と謂う。不言の謀、不聞の事は、殷、周を惡むと雖も、疵ること能わず。口吻言わず、精を以て相告ぐれば、紂、多心と雖も、知ること能わず。目は無形に視、耳は無聲に聽けば、商の聞衆しと雖も、窺うこと能わず。同惡同好、志皆欲する有れば、天子為ると雖も、離すこと能わず。