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十八史略 / 『十八史略』漢・高祖・雍歯を封じて群臣の不安を鎮める

上已封大功臣餘爭功不決上從複道望見諸將往往坐沙中相與語上問張良良曰陛下以此屬取天下今所封皆故人親愛所誅皆平生仇怨此屬畏不能盡封又恐見疑平生過失及誅故相聚謀反耳上曰奈何良曰陛下平生所憎群臣所共知誰最甚者上曰雍齒良曰急先封齒於是封齒為什方侯而急趣丞相御史定功行封群臣皆喜曰雍齒且侯吾屬無患矣

新字:上已封大功臣余争功不決上従複道望見諸将往往坐沙中相与語上問張良良曰陛下以此属取天下今所封皆故人親愛所誅皆平生仇怨此属畏不能尽封又恐見疑平生過失及誅故相聚謀反耳上曰奈何良曰陛下平生所憎群臣所共知誰最甚者上曰雍歯良曰急先封歯於是封歯為什方侯而急趣丞相御史定功行封群臣皆喜曰雍歯且侯吾属無患矣

書き下し

上、已に大功臣を封ずるも、余は功を争いて決せず。上、複道より、諸将の往往沙中に坐して相与に語るを望み見る。上、張良に問う。良曰く、陛下は此の属を以て天下を取れり。今、封ぜらるる所は皆故人・親愛、誅せらるる所は皆平生の仇怨なり。此の属は、尽く封ずる能わず、又平生の過失の疑われて誅に及ばんことを恐れ、故に相聚まりて反を謀るのみ、と。上曰く、奈何せん、と。良曰く、陛下の平生憎む所、群臣の共に知る所にして、誰か最も甚だしき者ぞ、と。上曰く、雍歯なり、と。良曰く、急ぎ先ず歯を封ぜよ、と。是に於いて歯を封じて什方侯と為し、而して急ぎ丞相・御史を趣して功を定め封を行わしむ。群臣皆喜びて曰く、雍歯すら且に侯たらんとす、吾が属は患い無し、と。

現代語訳

高祖はすでに大功臣たちを諸侯に封じましたが、残りの者たちは功を争って決着がつきませんでした。ある日、高祖が宮殿の渡り廊下から眺めると、諸将があちこちで砂の上に座り込み、ひそひそ話をしていました。高祖が張良に尋ねると、張良は答えました。「陛下はこの者たちの力で天下を取られました。いま封じられたのは旧知や親しい者ばかりで、誅されたのは日ごろ恨んでいた相手ばかりです。この者たちは、全員を封じることはできず、また日ごろの過失を疑われて誅されることを恐れて、集まって謀反を相談しているのです」。高祖が「どうすればよいか」と聞くと、張良は、「陛下が日ごろ最も憎んでおられ、群臣もそれを知っている者は誰ですか」と尋ねました。高祖は「雍歯だ」と答えました。張良は、「急いでまず雍歯を封じてください」と言いました。そこで雍歯を什方侯に封じ、丞相と御史を急がせて功績を定めさせ、領地を与えました。群臣はみな喜んで言いました。「あの雍歯でさえ侯になれるのだから、われわれは心配ない」。

解説

功臣たちが不安から反乱を企てかねないと見た張良が、高祖に示した策です。最も憎んでいる相手を真っ先に取り立てれば、公平な評価がなされると皆が納得する、という発想でした。個人の好き嫌いで賞罰を動かすと、組織全体が自分も疑われると怯えます。逆に、私情を超えた登用を目に見える形で示せば、不安が収まります。評価の基準が公正であることを、誰の目にも明らかな行動で示すことが、組織の安定に効くという教えが読み取れます。
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この章句が説くこと

張良雍歯論功行賞公正な評価不安の鎮静劉邦

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