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十八史略 / 『十八史略』商・湯・湯王の網開三面

湯出見有張網四面而祝之曰從天降從地出從四方來者皆罹吾網湯曰嘻盡之矣乃解其三面改祝曰欲左左欲右右不用命者入吾網諸侯聞之曰湯德至矣及禽獸伊尹相湯伐桀放之南巢諸侯尊湯為天子

新字:湯出見有張網四面而祝之曰従天降従地出従四方来者皆罹吾網湯曰嘻尽之矣乃解其三面改祝曰欲左左欲右右不用命者入吾網諸侯聞之曰湯徳至矣及禽獣伊尹相湯伐桀放之南巣諸侯尊湯為天子

書き下し

湯、出でて張る有るを見る。網を四面にして之を祝して曰く、「天より降り、地より出で、四方より来たる者、皆な吾が網に罹れ」と。湯曰く、「嘻、尽くせり」と。乃ち其の三面を解き、改めて祝して曰く、「左せんと欲すれば左し、右せんと欲すれば右せよ。命に用いざる者は、吾が網に入れ」と。諸侯之を聞きて曰く、「湯の徳至れり、禽獣に及べり」と。伊尹、湯を相け、桀を伐ちて之を南巣に放つ。諸侯、湯を尊びて天子と為す。

現代語訳

湯が外に出ると、網を張っている者がいました。その人は網を四方にめぐらせて祈って言います。「天から降りてくるもの、地から出てくるもの、四方から来るもの、すべてわたしの網にかかれ」。湯は「ああ、それでは獲物を取り尽くしてしまう」と言い、網の三面をほどかせ、祈りの言葉を改めさせました。「左へ行きたいものは左へ、右へ行きたいものは右へ行け。言うことをきかないものだけ、わたしの網に入れ」。諸侯はこの話を聞いて、「湯の徳は極まっている。鳥や獣にまで及んでいる」と言いました。やがて伊尹が湯を補佐して桀を討ち、桀を南巣に追放すると、諸侯は湯を尊んで天子としました。

解説

殷の湯王が、四方に網を張って獲物を取り尽くそうとする猟師を見て、三方の網を外させたという故事です。「網開三面」の出どころで、寛大な処置をとることの喩えとして使われます。ここで大切なのは、逃げ道を残す方が、結果として人心を集めたという点です。諸侯が湯の徳は鳥獣にまで及ぶと評し、のちに伊尹の補佐で桀を討って天子に推されます。現代の組織でも、ミスや反発を残らず取り締まろうとすると、人は萎縮して離れていきます。ルールを守らせる厳しさと、逃げ道を残す度量を両立させることが、人望の土台になります。
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この章句が説くこと

湯王網開三面寛大徳伊尹桀

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