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神皇正統記 / 巻五 第七十七代 後白河院

そのあひだに御出家ありしかど政務はかはらず。白河・鳥羽両代のごとし。されどうちつゞき乱世にあはせ給しこそあさましけれ。五代の帝の父祖にて、六十六歳おまし〳〵き。

書き下し

そのあひだに御出家ありしかど政務はかはらず。白河・鳥羽両代のごとし。されどうちつゞき乱世にあはせ給しこそあさましけれ。五代の帝の父祖にて、六十六歳おましましき。

現代語訳

その間に御出家なさったが、政務は変わらなかった。白河・鳥羽の両代と同じである。けれども引きつづいて乱世に遭われたのは嘆かわしいことであった。五代の帝の父祖として、六十六歳であられた。

解説

後白河院の長い院政を、親房はわずか数行でまとめる。出家しても政務は変わらず、白河・鳥羽の二代と同じだったこと。そして「うちつゞき乱世にあはせ給しこそあさましけれ」。保元・平治の乱、平氏の専権、源平の争乱、鎌倉幕府の成立と、この院の在世はまさに乱世の連続であった。親房は個々の出来事は前後の段に譲り、ここでは嘆きの一句にとどめている。最後の「五代の帝の父祖にて」は、二条・六条・高倉・安徳・後鳥羽の五代の天皇の父または祖父であったことを指す。乱世のなかで院が皇統の要として立ち続けたことを、数字一つで示しているのである。在位は三年にすぎないが、院としては三十余年。位と実権がずれていたこの時代の姿が、短い記事のなかに凝縮されている。

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