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神皇正統記 / 巻一 地神第三代 瓊々杵尊

神勅あきらかにして、詞つゞまやかにむねひろし。あまさへ神器にあらはれ給へり。いとかたじけなき事をや。

書き下し

神勅あきらかにして、詞つゞまやかにむねひろし。あまさへ神器にあらはれ給へり。いとかたじけなき事をや。

現代語訳

神勅は明らかで、言葉は簡潔でありながら趣旨は広い。そのうえ神器という形にも現れておられる。まことにかたじけないことである。

解説

天孫降臨の神勅に対する親房の評で、ごく短いが、この書の価値観がよく出ている。「詞つゞまやかにむねひろし」、言葉は短いが趣旨は広い。親房は聖徳太子の十七条憲法を評するときにも「むねをつゞまやかにして」と、要点を簡潔にまとめたことを称えている。長い説明より、短く広く効く言葉を上に置く。これが親房の一貫した物差しである。さらに神勅は言葉だけで終わらず、「神器にあらはれ給へり」、鏡・玉・剣という形ある物に込められている。言葉は忘れられても、目に見える物があれば、それを手にするたびに意味が思い出される。理念を短い言葉にし、しかも形あるものに託して代々伝える。組織の理念が掛け声で終わってしまうのは、言葉が長すぎるか、形に落とし込まれていないかのどちらかであることが多い。

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