神皇正統記 / 巻一 地神第三代 瓊々杵尊
神剣をひきさげては不順るものをたひらげ給。」と勅まし〳〵けるとぞ。 此国の神霊として、皇統一種たゞしくまします事、まことにこれらの勅にみえたり。
書き下し
神剣をひきさげては不順るものをたひらげ給。」と勅ましましけるとぞ。 此国の神霊として、皇統一種たゞしくまします事、まことにこれらの勅にみえたり。
現代語訳
「神剣を引っさげては、従わない者を平らげよ」と勅されたという。 この国の神霊として、皇統がただ一つ正しく続いておられることは、まことにこれらの勅に現れている。
解説
天孫降臨の神勅の結びと、それを受けた親房の短い評である。鏡で照らし、玉で治め、剣で従わない者を平らげよ。三つの勅が一組になって、統治に必要な明らかさと細やかさと断固さを示している。そのうえで親房は、この国の皇統が「一種たゞしく」続いてきたことは、まさにこれらの勅に現れていると言う。皇統の正しさの根拠を、血筋の古さそのものではなく、はじめに与えられた勅の言葉に置いているのである。勅に示された心得を守ることと、正統であることが結びつけられている。裏を返せば、勅の心得から外れれば正しさも揺らぐことになる。この書が別の段で、政が乱れれば暦数は長く続かないと繰り返すのは、この考えの延長にある。組織でも、正当性の根拠を創業の由来だけでなく、そのとき掲げた約束に置いておけば、代が替わっても立ち返る場所を失わない。
関連する章句
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『神皇正統記』巻一 地神第三代 瓊々杵尊神勅あきらかにして、詞つゞまやかにむねひろし。あまさへ神器にあらはれ給へり。いとかたじけなき事をや。
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『神皇正統記』巻五 第八十二代 後鳥羽院代々の天皇のとほき御まぼりとして国土のあまねき光となり給へり。うせにし宝剣はもとより如在のことゝぞ申侍べき。神璽は八坂瓊の曲玉と申す。神代より今にかはらず、代々の御身をはなれぬ御まぼりなれば、海中よりうかび出給へるもことわり也。三種の御ことはよく心え奉るべきなり。なべて物しらぬたぐひは、上古の神鏡は天徳・長久の災にあひ、草薙の宝剣は海にしづみにけりと申伝ること侍にや。返々ひがこと也。此国は三種の正体をもちて眼目とし、福田とするなれば、日月の天をめぐらん程は一もかけ給まじき也。天照太神の勅に「宝祚のさかえまさんことあめつちときはまりなかるべし。」と侍れば、いかでか疑奉るべき。今よりゆくさきもいとたのもしくこそおもひ給れ。 平氏いまだ西海にありしほど、源義仲と云物、まづ京都に入、兵威をもて世の中のことをおさへおこなひける。征夷将軍に任ず。此官は昔坂上の田村丸までは東夷征伐のために任ぜられき。
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