人物志 / 八觀
此似是而非者也。亦有似非而是者:大權似姦而有功,
新字:此似是而非者也。亦有似非而是者:大権似姦而有功,
書き下し
此れ是に似て非なる者なり。亦た非に似て是なる者有り。大権は姦に似て功有り、
現代語訳
これらは、正しいように見えて実はそうでないものである。反対に、正しくないように見えて実は正しいものもある。大いなる臨機の計略は、よこしまに見えて功績がある。
解説
似て非なるものの列挙を「是に似て非なる者」と締めくくり、逆の場合、すなわち「非に似て是なる者」へ話を転じる一節である。その最初の例が、大きな権謀は一見よこしまに見えるが、実際には功績をあげるというものである。権とは、はかりの重りのように状況に応じて判断を変えることで、原則を曲げているように見えても、大局では正しい結果をもたらす。三国の動乱期には、曹操をはじめ、常識外れの策で局面を開いた人物が多く、劉劭はそうした現実を踏まえていたと考えられる。今の組織でも、前例を破る判断や型破りなやり方が、最初は不誠実に見えることがある。見かけの正しさだけで人を裁かず、その判断が何のためになされたかを観る目が求められる。
関連する章句
-
人物志・八觀夫れ似たるを察して非なるを明らかにし、情の反を御するは、訟を理むるに似たる有り、其の実は別ち難きなり。
-
人物志・八觀多易は能に似て効無く、進鋭は精に似て去ること速やかに、訶者は察に似て事煩はしく、訐施は恵に似て成る無し、
-
人物志・八觀偏と依とは、志同じくして質違う、所謂似て是にして非なる者なり。
-
人物志・八觀八観とは、一に曰く、其の奪救を観て、以て間雑を明らかにす。二に曰く、其の感変を観て、以て常度を審らかにす。三に曰く、其の志質を観て、以て其の名を知る。四に曰く、其の所由を観て、以て依似を弁ず。五に曰く、其の愛敬を観て、以て通塞を知る。六に曰く、其の情機を観て、以て恕惑を弁ず。
-
人物志・八觀然らば則ち、論顕らかにして正を揚ぐるは、白なり。言応を善くせざるは、玄なり。玄白を経緯するは、通なり。移易して正無きは、雑なり。未然を先識するは、聖なり。玄事を追思するは、叡なり。事を見ること人に過ぐるは、明なり。明を以て晦と為すは、智なり。微忽も必ず識るは、妙なり。美妙にして昧からざるは、疏なり。之を測りて益々深きは、実なり。仮合して炫耀するは、虚なり。
-
人物志・效難是非を説くを好めば、則ち以て臧否すと為す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る