人物志 / 材能
伎倆之政,宜於治富,以之治貧則勞而下困。
新字:伎倆之政,宜於治富,以之治貧則労而下困。
書き下し
伎倆の政は、富を治むるに宜しく、之を以て貧を治むれば則ち労して下困しむ。
現代語訳
技量を重んじる政治は、豊かなところを治めるのに適しているが、これで貧しいところを治めると、民は苦労して下々が困窮する。
解説
伎倆の政、すなわち実務の技量と事業の工夫に長けた人の政治について述べる。流業篇で伎倆は法家の流れで、一官の任を受けて巧みに処理する才とされた。こうした政治は、資源の豊かな土地では事業を興して成果を上げるが、貧しい土地で同じことを行うと、民に労役を課すばかりで下々が困窮する。利害篇でも伎倆の業の弊害は「民労して下困しむ」とされている。成果を出す手腕があっても、土台の体力がない所では負担だけが残るという指摘である。現代でも、余力のある組織では新施策が成果を生むが、疲弊した組織に施策を重ねれば現場が消耗する。施策の前に土台の体力を見よという戒めである。
関連する章句
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人物志・利害伎倆の業は、事能に本づき、其の道は弁にして且つ速やかなり。其の未だ達せざるや、衆人の異とする所と為り、已に達するや、官司の任ずる所と為る。
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人物志・材能又国に俗化有り、民に劇易有り。而して人材同じからず、故に政に得失有り。是を以て、
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人物志・材能策術の政は、難を治むるに宜し。之を以て平を治むれば則ち奇無し。
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人物志・利害其の業為るや、細にして泰ならず、故に治の末為り。
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人物志・材能夫れ人材同じからず、能は各異なる有り。自任の能有り、立法使人の能有り、消息弁護の能有り、徳教を以て人に師たるの能、行事使人譴譲の能有り、司察糾摘の能有り、権奇の能有り、威猛の能有り。夫れ能は材より出で、材は量を同じくせず。材能既に殊なれば、政に任ずるも亦異なる。是の故に、自任の能は、清節の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の任、国の為にしては、則ち矯直の政なり。立法の能は、治家の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の任、国の為にしては、則ち公正の政なり。計策の能は、術家の材なり、故に朝に在りては、則ち三孤の任、国の為にしては、則ち変化の政なり。人事の能は、智意の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の佐、国の為にしては、則ち諧合の政なり。行事の能は、譴譲の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の佐、国の為にしては、則ち督責の政なり。権奇の能は、伎倆の材なり、故に朝に在りては、則ち司空の任、国の為にしては、則ち芸事の政なり。司察の能は、臧否の材なり、故に朝に在りては、則ち師氏の佐、国の為にしては、則ち刻削の政なり。威猛の能は、豪傑の材なり、故に朝に在りては、則ち将帥の任、国の為にしては、則ち厳厲の政なり。
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人物志・材能故に能を量りて官を授くるは、審らかにせざるべからざるなり。
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