人物志 / 材能
夫人材不同,能各有異:有自任之能,有立法使人之能,有消息辨護之能,以德教師人之能,有行事使人譴讓之能,有司察紏摘之能,有權奇之能,有威猛之能。夫能出於材,材不同量;材能既殊,任政亦異。是故:自任之能,清節之材也,故在朝也,則冢宰之任;為國,則矯直之政。立法之能,治家之材也,故在朝也,則司寇之任;為國,則公正之政。計策之能,術家之材也,故在朝也,則三孤之任;為國,則變化之政。人事之能,智意之材也,故在朝也,則冢宰之佐;為國,則諧合之政。行事之能,譴讓之材也,故在朝也,則司寇之佐;為國,則督責之政。權奇之能,伎倆之材也,故在朝也,則司空之任;為國,則藝事之政。司察之能,臧否之材也,故在朝也,則師氏之佐;為國,則刻削之政。威猛之能,豪傑之材也,故在朝也,則將帥之任;為國,則嚴厲之政。
新字:夫人材不同,能各有異:有自任之能,有立法使人之能,有消息弁護之能,以徳教師人之能,有行事使人譴譲之能,有司察紏摘之能,有権奇之能,有威猛之能。夫能出於材,材不同量;材能既殊,任政亦異。是故:自任之能,清節之材也,故在朝也,則冢宰之任;為国,則矯直之政。立法之能,治家之材也,故在朝也,則司寇之任;為国,則公正之政。計策之能,術家之材也,故在朝也,則三孤之任;為国,則変化之政。人事之能,智意之材也,故在朝也,則冢宰之佐;為国,則諧合之政。行事之能,譴譲之材也,故在朝也,則司寇之佐;為国,則督責之政。権奇之能,伎倆之材也,故在朝也,則司空之任;為国,則芸事之政。司察之能,臧否之材也,故在朝也,則師氏之佐;為国,則刻削之政。威猛之能,豪傑之材也,故在朝也,則将帥之任;為国,則厳厲之政。
書き下し
夫れ人材同じからず、能は各異なる有り。自任の能有り、立法使人の能有り、消息弁護の能有り、徳教を以て人に師たるの能、行事使人譴譲の能有り、司察糾摘の能有り、権奇の能有り、威猛の能有り。夫れ能は材より出で、材は量を同じくせず。材能既に殊なれば、政に任ずるも亦異なる。是の故に、自任の能は、清節の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の任、国の為にしては、則ち矯直の政なり。立法の能は、治家の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の任、国の為にしては、則ち公正の政なり。計策の能は、術家の材なり、故に朝に在りては、則ち三孤の任、国の為にしては、則ち変化の政なり。人事の能は、智意の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の佐、国の為にしては、則ち諧合の政なり。行事の能は、譴譲の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の佐、国の為にしては、則ち督責の政なり。権奇の能は、伎倆の材なり、故に朝に在りては、則ち司空の任、国の為にしては、則ち芸事の政なり。司察の能は、臧否の材なり、故に朝に在りては、則ち師氏の佐、国の為にしては、則ち刻削の政なり。威猛の能は、豪傑の材なり、故に朝に在りては、則ち将帥の任、国の為にしては、則ち厳厲の政なり。
現代語訳
そもそも人材は同じでなく、能力にもそれぞれ違いがある。自ら身をもって任に当たる能力があり、法を立てて人を使う能力があり、時勢に応じて伸縮し弁じて取りなす能力があり、徳の教えによって人の師となる能力があり、事を行い人を使って責め咎める能力があり、監察して不正を摘発する能力があり、臨機の奇策の能力があり、威厳と勇猛の能力がある。能力は才から出るが、才は同じ量ではない。才と能力が違えば、政治を任せる場も異なる。それゆえ、自ら任に当たる能力は清節の才であり、朝廷にあっては冢宰(宰相)の任に当たり、国を治めれば身を正して人を矯める政治となる。法を立てる能力は治家(法家)の才であり、朝廷にあっては司寇(司法の長官)の任に当たり、国を治めれば公正な政治となる。計略の能力は術家の才であり、朝廷にあっては三孤(君主の補佐役)の任に当たり、国を治めれば変化に富む政治となる。人事の能力は智意の才であり、朝廷にあっては冢宰の補佐に当たり、国を治めれば調和を図る政治となる。事を行う能力は譴譲(けんじょう、責め咎める)の才であり、朝廷にあっては司寇の補佐に当たり、国を治めれば督促し責める政治となる。臨機の奇策の能力は伎倆の才であり、朝廷にあっては司空(土木の長官)の任に当たり、国を治めれば技芸や事業を重んじる政治となる。監察の能力は臧否の才であり、朝廷にあっては師氏(教導の官)の補佐に当たり、国を治めれば厳しく削る政治となる。威厳と勇猛の能力は豪傑の才であり、朝廷にあっては将帥の任に当たり、国を治めれば厳格な政治となる。
解説
関連する章句
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人物志・材能故に臣は自ら任ずるを以て能と為し、君は人を用うるを以て能と為す。臣は能く言うを以て能と為し、君は能く聴くを以て能と為す。臣は能く行うを以て能と為し、君は能く賞罰するを以て能と為す。能とする所同じからず、故に能く衆材に君たるなり。
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人物志・材能又国に俗化有り、民に劇易有り。而して人材同じからず、故に政に得失有り。是を以て、
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人物志・流業是の故に、主道立てば、則ち十二材各其の任を得るなり。清節の徳は、師氏の任なり。法家の材は、司寇の任なり。術家の材は、三孤の任なり。三材純備なるは、三公の任なり。三材にして微なるは、冢宰の任なり。臧否の材は、師氏の佐なり。智意の材は、冢宰の佐なり。伎倆の材は、司空の任なり。儒学の材は、安民の任なり。文章の材は、国史の任なり。弁給の材は、行人の任なり。驍雄の材は、将帥の任なり。
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人物志・材能凡そ此の能は、皆偏材の人なり。故に或いは能く言ひて行ふこと能はず、或いは能く行ひて言ふこと能はず。国体の人に至りては、能く言ひ能く行ふ、故に衆材の雋たり。人君の能は此に異なる。
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『長短経』量才夫れ人の才能は参差として大小同じからず、猶お升は以て斛を盛る可からざるがごとし。満つれば則ち棄つ。其の人に非ずして之を使わば、安くんぞ殆からざるを得んや。〔傅子曰く「凡そ才を品するに九有り。一に曰く徳行、以て道の本を立つ。二に曰く理才、以て事機を研く。三に曰く政才、以て治体を経む。四に曰く学才、以て典文を綜ぶ。五に曰く武才、以て軍旅を禦す。六に曰く農才、以て耕稼を教う。七に曰く工才、以て器用を作る。八に曰く商才、以て国利を興す。九に曰く弁才、以て諷議を長ず」と。此れ才を量る者なり。〕
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人物志・流業蓋し人流の業は、十有二なり。清節家有り、法家有り、術家有り、国体有り、器能有り、臧否有り、伎倆有り、智意有り、文章有り、儒学有り、口弁有り、雄傑有り。若し夫れ徳行高妙にして、容止法とすべき、是を清節の家と謂ふ、延陵・晏嬰是れなり。法を建て制を立て、国を彊くし人を富ます、是を法家と謂ふ、管仲・商鞅是れなり。思ひ道化に通じ、策謀奇妙なる、是を術家と謂ふ、范蠡・張良是れなり。兼ねて三材有り、三材皆備はり、其の徳は以て風俗を厲ますに足り、其の法は以て天下を正すに足り、其の術は以て廟勝を謀るに足る、是を国体と謂ふ、伊尹・呂望是れなり。兼ねて三材有り、三材皆微にして、其の徳は以て一国を率ゐるに足り、其の法は以て郷邑を正すに足り、其の術は以て事宜を権るに足る、是を器能と謂ふ、子産・西門豹是れなり。兼ねて三材の別有り、各一流有り。清節の流は、弘恕なること能はず、好んで譏訶を尚び、是非を分別す、是を臧否と謂ふ、子夏の徒是れなり。法家の流は、思ひを創め遠きを図ること能はずして、能く一官の任を受け、意を錯き巧を施す、是を伎倆と謂ふ、張敞・趙広漢是れなり。術家の流は、制を創め則を垂るること能はずして、能く変に遭ひて権を用ゐ、権智余り有りて、公正足らず、是を智意と謂ふ、陳平・韓安国是れなり。
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