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法句経 / 第四 華の部 四四〜四六 華を摘むが如く

四四 誰か此の地を征服す、(誰か)又此の閻魔界と天界とを征服す、誰か善説の寂靜への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くする。 四五 佛教を學ぶ人は(此の)地を征服す、又此の閻魔界と天界とを(征服す)、佛教を學ぶ人は善説の寂靜への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くす。 四六 此の身は水沫の如しと知り、陽炎の如しと覺る人は魔羅の華箭を壞り、死王を覩ることなし。

新字:四四 誰か此の地を征服す、(誰か)又此の閻魔界と天界とを征服す、誰か善説の寂静への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くする。 四五 仏教を学ぶ人は(此の)地を征服す、又此の閻魔界と天界とを(征服す)、仏教を学ぶ人は善説の寂静への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くす。 四六 此の身は水沫の如しと知り、陽炎の如しと覚る人は魔羅の華箭を壊り、死王を睹ることなし。

書き下し

四四 誰か此の地を征服す、(誰か)又此の閻魔界と天界とを征服す、誰か善説の寂静への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くする。 四五 仏教を学ぶ人は(此の)地を征服す、又此の閻魔界と天界とを(征服す)、仏教を学ぶ人は善説の寂静への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くす。 四六 此の身は水沫の如しと知り、陽炎の如しと覚る人は魔羅の華箭を壊り、死王を覩ることなし。

現代語訳

誰がこの地(人・餓鬼・畜生の世界)を征服するのか。誰がこの閻魔の世界(地獄)と神々の世界とを征服するのか。誰が、よく説かれた安らぎへの道を、賢い人が花を摘むように摘み取るのか。仏の教えを学ぶ人がこの地を征服し、またこの閻魔の世界と神々の世界とを征服する。仏の教えを学ぶ人が、よく説かれた安らぎへの道を、賢い人が花を摘むように摘み取る。この身は水の泡のようだと知り、陽炎のようだと悟る人は、魔羅(心を誘惑するもの)の花の矢を打ち砕き、死の王(閻魔王)を見ることがない。

解説

第四章「華の部」の冒頭で、問いと答えの形をとる。四四偈が、誰がこの地と閻魔界と天界を征服するかと問い、四五偈が、仏教を学ぶ人がそうすると答える。荻原の注では「此の地」は人・餓鬼・畜生、閻魔界は地獄を指し、古代インドの世界観でいう迷いの世界全体を征服するということになる。印象深いのは、征服の比喩が「華を摘む」ことだという点である。腕のよい花輪作りが良い花を選んで摘むように、よく説かれた教えの中から自分の道を選び取る。力ずくの征服ではない。四六偈では、身を水沫や陽炎と観じる人が、魔羅の華箭、すなわち欲望の対象という花の矢を壊すという。花は選んで摘むべきものであり、同時に射込まれる矢にもなる。何を摘むかの見極めが、学びの質を分けるのである。

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