法句経 / 第二 不放逸の部 二二〜二四 称誉は増長す
二二 明かに此の理を知りて善く不放逸なる人々は不放逸を歡こび、聖者の境界を樂しむ。 二三 彼等は靜慮し、堅忍し、常に勇猛に、聰慧にして無上安穩の涅槃を得。 二四 奮勵し、熟慮し、淨き作業を勉め、自ら制し、如法に生活し、不放逸なれば、其人の稱譽は増長す。
新字:二二 明かに此の理を知りて善く不放逸なる人々は不放逸を歓こび、聖者の境界を楽しむ。 二三 彼等は静慮し、堅忍し、常に勇猛に、聰慧にして無上安穏の涅槃を得。 二四 奮励し、熟慮し、浄き作業を勉め、自ら制し、如法に生活し、不放逸なれば、其人の称誉は増長す。
書き下し
二二 明かに此の理を知りて善く不放逸なる人々は不放逸を歓こび、聖者の境界を楽しむ。 二三 彼等は静慮し、堅忍し、常に勇猛に、聡慧にして無上安穏の涅槃を得。 二四 奮励し、熟慮し、浄き作業を勉め、自ら制し、如法に生活し、不放逸なれば、其人の称誉は増長す。
現代語訳
このことわりをはっきりと知って、よく怠らない人々は、怠らないことを歓び、聖者の境地を楽しむ。彼らは静かに瞑想し、堅く耐え忍び、常に勇ましく励み、賢くて、この上なく安らかな涅槃(煩悩の火が消えた安らぎ)を得る。奮い立って励み、よく考え、清らかな行いに努め、自らを制し、法(真理)にかなって暮らし、怠らなければ、その人の名声はいよいよ高まる。
解説
第二章「不放逸の部」は、二一偈「不放逸は不死に到り」で始まる。二二偈の「此の理」とはその冒頭の偈の内容を指し、不放逸と放逸の違いをはっきり知った者のことである。不放逸は、気を散らさず目覚めていることを言う。二三偈は、その人々が静慮し、堅忍し、勇猛であって、無上安穏の涅槃を得ると述べる。静けさと勇ましさが同じ人の中に並んでいるのが面白い。落ち着きは怠惰ではなく、励みは騒がしさではない。二四偈はそれを日常の行いに引き下ろし、奮励・熟慮・浄い作業・自制・如法の生活を挙げて、その人の称誉は増長すると結ぶ。名声は目的としてではなく、結果として付いてくるものとして語られている。評判を求めて動くより、目の前の仕事に目覚めていることが、結局は信頼を積み上げるという順序がここにある。
関連する章句
-
『法句経』第二 不放逸の部 二一二一 不放逸は不死に到り、放逸は死に到る、不放逸の者は死せず、放逸の者は死せるに同じ。
-
『法句経』第二 不放逸の部 二五〜二七 暴流に漂はぬ洲二五 奮励により、不放逸により、制御により、又訓練により智者は暴流に漂蕩せられざる洲を作るべし。 二六 愚なる凡夫は放逸に耽る、智者は不放逸を護ること猶ほ珍財を護るが如くす。 二七 放逸に耽る勿れ、欲楽を習ふ勿れ、静慮不放逸なる人は大なる楽を得。
-
『法句経』第二 不放逸の部 二八・二九二八 不放逸により放逸を却けたる識者は智慧の閣に昇り、憂なく、憂ある人を観る、山上に居る人が平地の人を(観るが)如く、泰然として愚者を観る。 二九 逸放の中に在りて不放逸に、眠れる中に処して能く寤めたる賢人は駿馬の如く駑馬を後にして進む。
-
『法句経』第十七 忿怒の部 二二四〜二二六 実を語れ、忿る勿れ二二四 実を語れ、忿る勿れ、乞はるゝときは(己の物)少なしと雖も之を与へよ、此の三事によりて天処に往くを得ん。 二二五 諸の賢人若し常に身を護り、害せざるときは、不死の処に往く、往き已りて愁へず。 二二六 人恒に覚寤し、昼夜に勤学し、涅槃を信解すれば(彼の)心穢は滅尽す。
-
『法句経』第十六 愛好の部 二一七〜二二〇 福業に迎へらる二一七 戒と見とを具へ、正しく、実語し、自の所作を作す人は衆に愛せらる。 二一八 無名を希望し、作意して怠らず、心諸欲に拘礙せられざれば、彼は上流と名づけらる。 二一九 久しく遠方に行き安全にして還る人を親戚及び朋友が歓こんで迎ふる如く、 二二〇 是の如く福を造り此の世より他(世)に往ける人は、福業に迎へらる、還り来れる所愛が親戚に(迎へらるゝが)如く。
-
『法句経』第二 不放逸の部 三〇〜三二 火の如く結を焼く三〇 摩掲梵は不放逸によりて諸神の主となるを得たり、人咸な不放逸を称賛す、放逸は常に非難せらる。 三一 不放逸を楽しみ放逸を畏るゝ出家は行きつゝ粗細の結を焼く、猶ほ火の如し。 三二 不放逸を楽しみ放逸を畏るゝ出家は退転するの理なし、彼は既に涅槃に近づけり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る