抱朴子外篇 / 自敘
事平,洪投戈釋甲,徑詣洛陽,欲廣尋異書,了不論戰功。竊慕魯連不受聊城之金,包胥不納存楚之賞,成功不處之義焉。正遇上國大亂,北道不通。而陳敏又反於江東,歸途隔塞。會有故人譙國嵇君道,見用為廣州刺史。乃表請洪為叄軍。雖非所樂,然利可避地於南,故黽勉就焉。見遣先行催兵,而君道於後遇害,遂停廣州。頻為節將見邀用,皆不就。永惟富貴可以漸得而不可頓合,其間屑屑,亦足以勞人。且榮位勢利,譬如寄客,既非常物,又其去不可得留也。隆隆者絕,赫赫者滅,有若春華,須臾凋落,得之不喜,失之安悲?悔吝百端,憂懼兢戰,不可勝言。不可為也。且自度性篤懶而才至短,以篤懶而禦短才,雖翕肩屈膝,趨走風塵,猶必不辦大致名位而免患累,況不能乎?
新字:事平,洪投戈釈甲,径詣洛陽,欲広尋異書,了不論戦功。窃慕魯連不受聊城之金,包胥不納存楚之賞,成功不処之義焉。正遇上国大乱,北道不通。而陳敏又反於江東,帰途隔塞。会有故人譙国嵇君道,見用為広州刺史。乃表請洪為叄軍。雖非所楽,然利可避地於南,故黽勉就焉。見遣先行催兵,而君道於後遇害,遂停広州。頻為節将見邀用,皆不就。永惟富貴可以漸得而不可頓合,其間屑屑,亦足以労人。且栄位勢利,譬如寄客,既非常物,又其去不可得留也。隆隆者絶,赫赫者滅,有若春華,須臾凋落,得之不喜,失之安悲?悔吝百端,憂懼兢戦,不可勝言。不可為也。且自度性篤懶而才至短,以篤懶而禦短才,雖翕肩屈膝,趨走風塵,猶必不辦大致名位而免患累,況不能乎?
書き下し
事平らぎ、洪は戈を投じ甲を釈きて、径ちに洛陽に詣り、広く異書を尋ねんと欲し、了に戦功を論ぜず。竊かに魯連の聊城の金を受けざる、包胥の存楚の賞を納れざる、功を成して処らざるの義を慕う。正に上国の大乱に遇い、北道通ぜず。而して陳敏又た江東に反き、帰途は隔塞す。会たま故人の譙国の嵇君道有り、用いられて広州刺史と為る。乃ち表して洪を請いて参軍と為さしむ。楽しむ所に非ずと雖も、然れども利は地を南に避く可くして、故に黽勉して就く。遣わされて先行して兵を催し、而るに君道は後に害に遇い、遂に広州に停まる。頻りに節将に邀えられ用いらるるも、皆な就かず。永く惟うに、富貴は以て漸く得可くして頓に合う可からず、其の間は屑屑として、亦た以て人を労するに足る。且つ栄位勢利は、譬えば寄客の如く、既に常の物に非ず、又た其の去るも留む可からず。隆隆たる者は絶え、赫赫たる者は滅ぶ。春華の如く有りて、須臾にして凋落し、之を得るも喜ばず、之を失うも安んぞ悲しまん。悔吝は百端、憂懼して兢戦し、勝げて言う可からず。為す可からざるなり。且つ自ら度るに、性は篤く懶にして、才は至って短し。篤懶を以て短才を御せば、肩を翕め膝を屈して、風塵に趨走すと雖も、猶お必ず大致を名位に辦じて患累を免れざらん、況んや能わざるをや。
現代語訳
事が収まると、私は戈を投げ甲を脱いで、まっすぐ洛陽に行き、広く珍しい書を探そうとして、戦功についてはまったく論じなかった。ひそかに魯仲連が聊城の金を受けなかったこと、申包胥が楚を存続させた賞を受けなかったこと、功を成してそこに居座らない義を慕った。ちょうど都の大乱に遭い、北の道は通じなくなった。さらに陳敏が江東で反き、帰り道は塞がった。たまたま旧知の譙国の嵇君道が用いられて広州刺史となった。そこで上表して私を参軍にと請うた。楽しいことではなかったが、利としては南に地を避けるに足りるので、務めて就いた。派遣されて先に行き兵を催促していたところ、君道は後に害に遭い、そのまま広州にとどまった。しきりに節将に招かれて用いられようとしたが、みな就かなかった。長く考えるに、富貴はだんだん得られても、一度に揃えることはできず、その間はこまごまとして、人を疲れさせるに足りる。そもそも栄位や勢利は、たとえば旅の客のようなもので、永遠の物ではなく、去るのをとどめることもできない。盛んな者は絶え、赫々たる者は滅ぶ。春の花のようで、すぐに散り落ち、得ても喜ばず、失っても悲しまない。悔いや恥は百端、憂いと恐れで震え、言い尽くせない。やるべきことではない。さらに自分を測るに、性は篤実だが怠け者で、才は短い。怠け者の性で短い才を御せば、肩をすくめ膝を曲げて、風塵のなかを奔走しても、やはり大きな名位を成して患累を免れることはできないだろう。まして、できないのだ。
解説
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