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抱朴子外篇 / 自敘

洪之為人也,而騃野,性鈍口訥,形貌醜陋,而終不辯自矜飾也。冠履垢弊,衣或襤褸,而或不恥焉。俗之服用,俾而屢改,或忽廣領而大帶,或促身而修袖,或長裾曳地,或短不蔽腳。洪期於守常,不隨世變。言則率實,杜絕嘲戲,不得其人,終日默然。故邦人鹹稱之為抱朴之士。是以洪著書,因以自號焉。洪稟性尪羸,兼之多疾,貧無車馬,不堪徒行,行亦性所不好。又患弊俗,捨本逐末,交游過差,故遂撫筆閒居,守靜蓽門而無趨從之所,至於權豪之徒,雖在密跡,而莫或相識焉。衣不辟寒,室不免漏,食不充虛,名不出戶,不能憂也。貧無僮僕,籬落頓決,荊棘叢於庭宇,蓬莠塞乎階雨留,披榛出門,排草入室,論者以為意遠忽近而不恕。其乏役也。不曉謁以故初不修見官長。至於吊大喪,省困疾,乃心欲自勉,強令無不必至,而居疾少健。

新字:洪之為人也,而騃野,性鈍口訥,形貌醜陋,而終不弁自矜飾也。冠履垢弊,衣或襤褸,而或不恥焉。俗之服用,俾而屡改,或忽広領而大帯,或促身而修袖,或長裾曳地,或短不蔽脚。洪期於守常,不随世変。言則率実,杜絶嘲戯,不得其人,終日黙然。故邦人鹹称之為抱朴之士。是以洪著書,因以自号焉。洪稟性尪羸,兼之多疾,貧無車馬,不堪徒行,行亦性所不好。又患弊俗,捨本逐末,交游過差,故遂撫筆閒居,守静蓽門而無趨従之所,至於権豪之徒,雖在密跡,而莫或相識焉。衣不辟寒,室不免漏,食不充虚,名不出戸,不能憂也。貧無僮僕,籬落頓決,荊棘叢於庭宇,蓬莠塞乎階雨留,披榛出門,排草入室,論者以為意遠忽近而不恕。其乏役也。不暁謁以故初不修見官長。至於吊大喪,省困疾,乃心欲自勉,強令無不必至,而居疾少健。

書き下し

洪の人と為りや、騃野にして、性は鈍く口は訥、形貌は醜陋なれども、終に弁じて自ら矜飾せず。冠履は垢弊し、衣は或いは襤褸なれども、或いは恥じず。俗の服用は、屢しば改まり、或いは忽ち広領大帯、或いは身を促め袖を修くし、或いは長裾地に曳き、或いは短くして脚を蔽わず。洪は常を守るを期し、世の変に随わず。言えば則ち率ね実にして、嘲戯を杜絶し、其の人を得ざれば、終日默然たり。故に邦人は鹹な之を称して抱朴の士と為す。是を以て洪は書を著し、因りて以て自ら号す。洪は稟性尪羸にして、之に兼ねて疾多く、貧にして車馬無く、徒行に堪えず、行くも亦た性の好まざる所なり。又た弊俗の本を捨て末を逐い、交游の過差なるを患う。故に遂に筆を撫して閒居し、静を蓽門に守りて趨従する所無く、権豪の徒に至りては、密跡に在りと雖も、或いは相い識る莫し。衣は寒を辟けず、室は漏るるを免れず、食は虚を充たさず、名は戸を出でざるも、憂うる能わず。貧にして僮僕無く、籬落は頓決し、荊棘は庭宇に叢り、蓬莠は階雨に塞がる。榛を披きて門を出で、草を排して室に入る。論ずる者は以て意は遠きに忽近にして恕せずと為す。其の役に乏しきなり。暁謁せず、故に初めより官長に見ゆるを修めず。大喪を吊い、困疾を省るに至りては、乃ち心に自ら勉めんと欲し、強いて必ず至らしむるも、居疾は少しく健なり。

現代語訳

私の人となりは、愚直で野暮ったく、性質は鈍く口下手で、容貌も醜いが、最後まで弁解して自分を飾ることをしなかった。冠も履も垢で破れ、衣はぼろぼろであることもあったが、それを恥じなかった。世の服装はしばしば改まり、広い襟と大きな帯が流行るかと思えば、身ごろを詰めて袖を長くしたり、裾を地に引いたり、短くて脚を覆わなかったりする。私は常を守ることを期し、世の移り変わりに従わなかった。言うことはほぼ実のあることで、冗談や嘲りを断ち、その人でなければ、一日中黙っていた。だから郷里の人々はみな私を抱朴の士と呼んだ。それで私は書を著し、この名を自分の号とした。私は生まれつき痩せて弱く、そのうえ病が多く、貧しくて車馬もなく、徒歩に堪えず、歩くのも性分に合わない。また、世の悪い風習が本を捨てて末を追い、交際が度を過ぎることを患っていた。そこで筆をとって静かに暮らし、貧しい戸口で静を守り、出向く所もなく、権力者や豪族の仲間には、近くにいても、知り合いになる者もいなかった。衣は寒さを防がず、家は雨漏りを免れず、食は腹を満たさず、名が門の外に出ないことも、憂えることができなかった。貧しくて下僕もなく、垣は崩れ、茨が庭に茂り、雑草が階の雨だれ落ちに塞がる。茂みをかき分けて門を出、草を押しのけて部屋に入る。論者は、遠くに心を向けて近くを忽せにし、人を許さないと言う。それは人手が乏しいためである。挨拶回りに行かないので、初めから上官に会う努めもしなかった。大きな喪を弔い、病や困窮を見舞うことは、心に自ら努めようとして、無理に行ったが、病気がちで少ししか果たせなかった。

解説

自分の欠点を列挙しながら、それを飾らない態度を示す段です。口下手、貧乏、衣はぼろぼろ、庭は荊棘が茂る。そして世が服装の流行を追う中、「常を守るを期し、世の変に随わず」と、流行に従わない姿勢が貫かれます。「抱朴」の号の由来もここで説明され、飾らない質朴さが書名になっていることが分かります。読みどころは、外見や付き合いの欠如を批判されても、不見識と見られても、冠や衣で自分を弁解しなかった点です。自分の不得意を認めて、そのうえで何を優先するかを決める姿勢は、リーダーが自己開示する場面でも参考になります。

この章句が説くこと

常を守るを期し世の変に随わず邦人は鹹な之を称して抱朴の士と為す終に弁じて自ら矜飾せず本を捨て末を逐い質朴

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