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武治提要 / 風化・第3段

凡文質彬々たるは、君子の德容にして、外國の聖世といへども、天下皆彬々たることを得べからず。若彬々たることを欲して、これを令せば、天下皆花麗を俗となすに至るべし。凡質朴にして、稍禮容に疎なるは、武國武門の俗なり。これを措て或は禮容の盛んならんことを欲じ、或は事物に文章の美あらんことを期するものは、武德廢弛の機なり。つゝしまずんばあるべからず。

新字:凡文質彬々たるは、君子の徳容にして、外国の聖世といへども、天下皆彬々たることを得べからず。若彬々たることを欲して、これを令せば、天下皆花麗を俗となすに至るべし。凡質朴にして、稍礼容に疎なるは、武国武門の俗なり。これを措て或は礼容の盛んならんことを欲じ、或は事物に文章の美あらんことを期するものは、武徳廃弛の機なり。つゝしまずんばあるべからず。

書き下し

凡文質彬々たるは、君子の德容にして、外國の聖世といへども、天下皆彬々たることを得べからず。若彬々たることを欲して、これを令せば、天下皆花麗を俗となすに至るべし。凡質朴にして、稍禮容に疎なるは、武國武門の俗なり。これを措て或は禮容の盛んならんことを欲じ、或は事物に文章の美あらんことを期するものは、武德廢弛の機なり。つゝしまずんばあるべからず。

現代語訳

およそ文と質が調和して彬々と整っているのは、君子の徳ある姿であって、外国の聖世といっても、天下の者がみな彬々としているとはいきません。もし彬々とすることを望んで、これを令すれば、天下はみな華やかで麗しいことを風俗とするに至るでしょう。およそ質朴で、やや礼容にうといのが、武国・武門の風俗です。これを措いて、礼容の盛んなことを望み、事物に文章の美があることを期するのは、武徳が弛み廃れる兆しです。慎まなければなりません。

解説

礼儀や文化の洗練より、質朴であることを武家の風俗として守れという段です。文と質がほどよく整った姿は君子の徳ある姿だが、外国の聖世でさえ全員がそうはならない。それを令で求めれば、かえって皆が華美を風俗にしてしまう、と警戒します。礼容の盛んさや文飾の美を求め始めるのは、武徳が弛む兆しとされます。これは武門の価値観に立った発言で、洗練そのものを否定するわけではありません。ただ、組織が成長すると、見栄えや形式が目的化し、本来の強みが薄れることはよくあります。自分たちが何で選ばれてきたのかを忘れ、体裁を整えることに時間を使い始めたときの注意として読めます。

この章句が説くこと

質朴華美礼容武徳原点武治提要

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