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抱朴子外篇 / 知止

吾聞無熾不滅,靡溢不損,煥赫有委灰之兆,春草為秋瘁之端,日中則昃,月盈則蝕,四時之序,成功者退。遠取諸物,則構高崇峻之無限,則頹壞惟憂矣;近取諸身,則嘉膳旨酒之不節,則結疾傷性矣。況乎其高概雲霄而積之猶不止,其威震人主而加崇,又不息者乎!蚊虻墮山,適足翺翔;兕虎之墜,碎而為齏。此言大物,不可失所也。且夫正色彈違,直道而行,打撲幹紀,不慮讎隟,則怨深恨積。若舍法容非,屬托如響,吐剛茹柔,委曲繩墨,則忠□喪敗,居此地者,不變勞乎?是以身名並全者甚希,而折足覆食束者不乏也。

新字:吾聞無熾不滅,靡溢不損,煥赫有委灰之兆,春草為秋瘁之端,日中則昃,月盈則蝕,四時之序,成功者退。遠取諸物,則構高崇峻之無限,則頽壊惟憂矣;近取諸身,則嘉膳旨酒之不節,則結疾傷性矣。況乎其高概雲霄而積之猶不止,其威震人主而加崇,又不息者乎!蚊虻堕山,適足翺翔;兕虎之墜,砕而為齏。此言大物,不可失所也。且夫正色弾違,直道而行,打撲幹紀,不慮讎隟,則怨深恨積。若舎法容非,属托如響,吐剛茹柔,委曲縄墨,則忠□喪敗,居此地者,不変労乎?是以身名並全者甚希,而折足覆食束者不乏也。

書き下し

吾聞く、熾んなる無くして滅びざるは無く、溢るる靡くして損なわざるは靡く、煥赫は委灰の兆しを有し、春草は秋に瘁むの端となる。日中すれば則ち昃き、月盈つれば則ち蝕く。四時の序は、功を成す者は退く。遠くは諸を物に取れば、高く崇く峻きを構えて限り無きは、則ち頽れ壊るるを惟れ憂う。近くは諸を身に取れば、嘉き膳と旨き酒とを節せざれば、則ち疾を結びて性を傷う。況んや其の高きこと雲霄に概し、積むこと猶お止まず、其の威は人主を震わして崇きを加え、又た息まざる者をや。蚊虻の山より堕つるは、適に翺翔するに足る。兕虎の墜つるは、砕けて齏と為る。此れ大なる物の、所を失うべからざるを言うなり。且つ夫れ色を正して違を弾じ、直道にして行い、幹紀を打撲して、讎隙を慮らざれば、則ち怨み深く恨み積もる。若し法を舍き非を容れ、属托すること響くが如く、剛を吐き柔を茹い、委曲して縄墨すれば、則ち忠は□れ喪敗す。此の地に居る者は、変じて労せざらんや。是を以て身名並び全うする者は甚だ希にして、足を折り食を覆す者は乏しからず。

現代語訳

私は聞いている。燃え盛って消えないものはなく、あふれて減らないものはなく、輝かしいものには灰となる兆しがあり、春の草は秋に枯れる端緒となる。日が中天に来れば傾き、月は満ちれば欠ける。四季の順序では、功を成した者は退く。遠くはものに例を取れば、高く険しく築いて限りがなければ、崩れ壊れることが心配になる。近くは我が身に取れば、うまい食事と美酒を節しなければ、病を結んで性を傷つける。まして、その高さが雲にまで及んでなお積み上げ、威が君主を震わせてなお高まり、なお止まない者はなおさらである。蚊や虻が山から落ちるなら、かえって飛びまわれるが、犀や虎が落ちれば砕けて粉となる。これは大きなものは、居るべき所を失ってはならないということである。またそもそも、顔色を正して違反を糾弾し、直き道を行い、綱紀を乱す者を打ち据えて、恨みを買うことを気にかけなければ、怨みは深く恨みは積もる。もし法を措いて非を許し、頼み事に響くように応じ、剛を吐いて柔をのみ込み、法を曲げて縄墨にかなわせれば、忠は失われ崩れる。この位置にいる者は、変わり苦労しないでいられようか。こうして、身も名も共に全うする者は極めて稀で、足を折り、鼎の食を覆す者は少なくない。

解説

栄えの頂点には衰えの兆しがあるとして、「日中すれば則ち昃き、月盈つれば則ち蝕く」と自然の理から退き時を説きます。ここで目を引くのは後半で、高位にいる者の板挟みを具体的に描いている点です。正しく糾弾すれば怨みが積もり、法を曲げて頼み事を通せば忠が崩れる、どちらを選んでも苦しい立場だと言います。管理職にも身に覚えがあるはずです。厳しく是正すれば反発を受け、融通を利かせれば公平さを失う。その位置にいる以上、全うするのは難しい、と認めるところから考え始める段です。なお原文の「忠□」は一字が欠けています。

この章句が説くこと

日中すれば則ち昃き月盈つれば則ち蝕く功を成す者は退く身名並び全うする者は甚だ希に栄枯頂点

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