抱朴子外篇 / 詰鮑
鮑生曰:「王者欽想奇瑞,引誘幽荒,欲以崇德邁威,厭耀未服,白雉玉環,何益齊民乎?」抱朴子詰曰:「夫王者德及天則有天瑞,德及地則有地應。若乃景星摛光,以佐望舒之耀;冠日含辨,以表羲和之晷。靈禽嗈喈於阿閣,金象焜晃乎清沼,此豈卑辭所致,厚幣所誘哉!王莽奸猾,包藏禍心,文致太平,誑眩朝野,貺遺外域,使送瑞物,豈可以此謂古皆然乎?夫見盈丈之尾,則知非咫尺之軀;睹尋仞之牙,則知非膚寸之口。故王母之遣使,明其玄化通靈,無遠不懷也;越裳之重譯,足知惠沾殊方,澤被無外也。夫絕域不可以力服,蠻貊不可以威攝,自非至治,焉能然哉!何者鮑生謂為不用?夫周室非乏玉而須王母之環以為富也,非儉膳而渴越裳之雉以充庖也,所以貴之者,誠以斯物為太平。則上無苛虐之政,下無失所之人,蜎飛蠕動,鹹得其歡,有國之美,孰多於斯!而雲不用,無益於齊民。源遠體大,固未易見,鮑生之言,不亦宜乎?」
新字:鮑生曰:「王者欽想奇瑞,引誘幽荒,欲以崇徳邁威,厭耀未服,白雉玉環,何益斉民乎?」抱朴子詰曰:「夫王者徳及天則有天瑞,徳及地則有地応。若乃景星摛光,以佐望舒之耀;冠日含弁,以表羲和之晷。霊禽嗈喈於阿閣,金象焜晃乎清沼,此豈卑辞所致,厚幣所誘哉!王莽奸猾,包蔵禍心,文致太平,誑眩朝野,貺遺外域,使送瑞物,豈可以此謂古皆然乎?夫見盈丈之尾,則知非咫尺之躯;睹尋仞之牙,則知非膚寸之口。故王母之遣使,明其玄化通霊,無遠不懐也;越裳之重訳,足知恵沾殊方,沢被無外也。夫絶域不可以力服,蠻貊不可以威摂,自非至治,焉能然哉!何者鮑生謂為不用?夫周室非乏玉而須王母之環以為富也,非倹膳而渇越裳之雉以充庖也,所以貴之者,誠以斯物為太平。則上無苛虐之政,下無失所之人,蜎飛蠕動,鹹得其歓,有国之美,孰多於斯!而雲不用,無益於斉民。源遠体大,固未易見,鮑生之言,不亦宜乎?」
書き下し
鮑生曰く、「王者は奇瑞を欽想し、幽荒を引誘し、以て徳を崇び威を邁くし、未服を厭耀せんと欲す。白雉玉環、何ぞ斉民に益あらんや」と。抱朴子詰じて曰く、「夫れ王者の徳天に及べば則ち天瑞有り、徳地に及べば則ち地応有り。若し乃ち景星光を摛き、以て望舒の耀を佐く。冠日辨を含み、以て羲和の晷を表す。霊禽は阿閣に嗈喈し、金象は清沼に焜晃たり。此れ豈に卑辞の致す所、厚幣の誘う所ならんや。王莽は奸猾にして、禍心を包蔵し、文致太平し、朝野を誑眩し、外域に貺遺し、瑞物を送らしむ。豈に此を以て古は皆な然りと謂う可けんや。夫れ盈丈の尾を見れば、則ち咫尺の軀に非ざるを知る。尋仞の牙を睹れば、則ち膚寸の口に非ざるを知る。故に王母の使を遣わすは、其の玄化霊に通じ、遠しとして懐かざる無きを明らかにするなり。越裳の重訳は、恵み殊方に沾い、沢無外に被るを知るに足る。夫れ絶域は力を以て服す可からず、蛮貊は威を以て摂す可からず。至治に自らざれば、焉くんぞ能く然らんや。何ぞ鮑生の用いずと謂うや。夫れ周室は玉に乏しくして王母の環を須ちて以て富と為すに非ず、膳を倹にして越裳の雉に渇して以て庖を充たすに非ず。之を貴ぶ所以は、誠に斯の物を以て太平と為せばなり。則ち上に苛虐の政無く、下に所を失う人無く、蜎飛蠕動、鹹な其の歓を得ん。国を有つの美、孰か斯より多からん。而るに斉民に益無しと云う。源遠く体大にして、固より未だ見え易からず。鮑生の言、亦た宜ならずや」と。
現代語訳
鮑生は言う。「王者は珍しい吉兆を慕い、遠い辺境の民を誘い、徳を崇め威を広げ、まだ服しない者を威圧しようとする。白い雉や玉の環が、民にとって何の益になるのか」と。抱朴子は問い詰めて言う。「王者の徳が天に及べば天の瑞があり、徳が地に及べば地の応がある。景星が光を放って月の輝きを助け、日の冠のような雲が模様を含んで羲和の日影を表す。霊鳥は阿閣で和やかに鳴き、金の象は清い池に輝く。これは卑屈な言葉で招いたものでも、厚い贈り物で誘ったものでもない。王莽は奸猾で、禍心を包み隠し、文飾によって太平を作り、朝野を欺き、外国に贈り物を贈って、瑞物を送らせた。これをもって、昔もみなそうだったと言えようか。一丈にも及ぶ尾を見れば、それが一尺の体のものでないことが分かる。一尋ほどの牙を見れば、それが一寸ほどの口のものでないことが分かる。だから西王母が使いを遣わしたのは、その深い教化が神霊に通じ、遠くても懐かない者がないことを明らかにするものである。越裳が幾重もの通訳を重ねて来たのは、恵みが異なる地方に及び、徳沢が外を持たないほど行きわたったことを知らせるに足る。遠い国は力で服させることができず、蛮夷は威で従わせることができない。至治でなければ、どうしてそうなろうか。それなのになぜ鮑生は役に立たないと言うのか。周の王室は玉に乏しくて西王母の環を得て富とするのでもなく、食を倹約して越裳の雉を渇望して台所を満たすのでもない。それを貴ぶ理由は、まことにこの物をもって太平のしるしとするからである。上に苛酷な政はなく、下に所を失う人はなく、飛ぶ虫も這う虫も、みなその喜びを得るだろう。国を保つ美しさで、これより大きいものがあろうか。それなのに民に益がないと言う。源は遠く体は大きく、もともと見えにくいものだ。鮑生の言うことも、もっともではないか」と。
解説
この章句が説くこと
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