抱朴子外篇 / 詰鮑
「降及杪季,智用巧生,道德既衰,尊卑有序,繁升降損益之禮,飾紱冕玄黃之服,起土木於淩霄,構丹綠於棼撩,傾峻搜寶,泳淵辨珠。聚玉如林,不足以極其變;積金成山,不足以贍其費。澶漫於淫荒之域,而叛其大始之本,去宗日遠,背樸彌增,尚賢則民爭名,貴貨則盜賊起,見可欲則真正之心亂,勢利陳則劫奪之途開。造剡銳之器,長侵割之患,弩恐不勁,甲恐不堅,矛恐不利,盾恐不厚。若無淩暴,此皆可棄也。故曰:白玉不毀,孰為珪璋?道德不廢,安取仁義?使夫桀紂之徒,得燔人辜諫者,脯諸侯,菹方伯,剖人心,破人脛,窮驕淫之惡,用炮烙之虐。若令斯人並為匹夫,性雖兇奢,安得施之!使彼肆酷恣欲,屠割天下,由於為君,故得縱意也。君臣既立,眾慝日滋,而欲攘臂乎桎梏之間,悉勞於塗炭之中。
新字:「降及杪季,智用巧生,道徳既衰,尊卑有序,繁升降損益之礼,飾紱冕玄黄之服,起土木於淩霄,構丹緑於棼撩,傾峻捜宝,泳淵弁珠。聚玉如林,不足以極其変;積金成山,不足以贍其費。澶漫於淫荒之域,而叛其大始之本,去宗日遠,背樸弥增,尚賢則民争名,貴貨則盗賊起,見可欲則真正之心乱,勢利陳則劫奪之途開。造剡鋭之器,長侵割之患,弩恐不勁,甲恐不堅,矛恐不利,盾恐不厚。若無淩暴,此皆可棄也。故曰:白玉不毀,孰為珪璋?道徳不廃,安取仁義?使夫桀紂之徒,得燔人辜諫者,脯諸侯,菹方伯,剖人心,破人脛,窮驕淫之悪,用炮烙之虐。若令斯人並為匹夫,性雖兇奢,安得施之!使彼肆酷恣欲,屠割天下,由於為君,故得縦意也。君臣既立,衆慝日滋,而欲攘臂乎桎梏之間,悉労於塗炭之中。
書き下し
「杪季に降及して、智用い巧生じ、道徳既に衰え、尊卑序有り、升降損益の礼を繁にし、紱冕玄黄の服を飾り、土木を凌霄に起こし、丹緑を棼撩に構え、峻を傾けて宝を捜し、淵に泳ぎて珠を辨ず。玉を聚むること林の如くすれども、以て其の変を極むるに足らず。金を積みて山と成すも、以て其の費を贍すに足らず。淫荒の域に澶漫して、其の大始の本に叛き、宗を去ること日に遠く、樸に背くこと弥いよ増す。賢を尚べば民は名を争い、貨を貴べば盗賊起こり、欲す可きを見れば真正の心乱れ、勢利陳なれば劫奪の途開く。剡鋭の器を造りて侵割の患を長ず。弩は勁からざるを恐れ、甲は堅からざるを恐れ、矛は利からざるを恐れ、盾は厚からざるを恐る。若し凌暴無くんば、此れ皆な棄つ可きなり。故に曰く、白玉毀たれずんば、孰か珪璋を為さん。道徳廃れずんば、安くんぞ仁義を取らん。夫の桀紂の徒をして、人を燔きて諫むる者を辜し、諸侯を脯にし、方伯を菹にし、人の心を剖き、人の脛を破り、驕淫の悪を窮め、炮烙の虐を用いしむるを得しむ。若し斯の人をして並びに匹夫と為さしめば、性は兇奢なりと雖も、安くんぞ之を施すを得ん。彼をして酷を肆にし欲を恣にし、天下を屠割せしむるは、君為るに由り、故に意を縦にするを得るなり。君臣既に立ちて、衆慝日に滋く、而るに臂を桎梏の間に攘い、悉く塗炭の中に労せんと欲す。
現代語訳
「末世に降るに及んで、知恵が用いられ巧みさが生まれ、道徳はすでに衰え、尊卑に序列ができ、昇降増減の礼を煩雑にし、礼服や冠を玄黄で飾り、土木工事を雲を凌ぐ高さに起こし、朱や緑の彩りを棟や垂木に施し、険しい山を傾けて宝を探し、深い淵に潜って珠を選ぶ。玉を林のように集めてもその変化を極めるには足りず、金を積んで山にしてもその費えを満たすに足りない。淫らで荒れた域にほしいままに流れて、大いなる始まりの根本にそむき、本源を去ることは日ごとに遠く、素朴にそむくことはいよいよ増す。賢者を尊べば民は名を争い、財貨を貴べば盗賊が起こり、欲しいものを見れば真正の心が乱れ、権勢や利が並べばおびやかし奪う道が開く。鋭い武器を造って侵略の患いを大きくする。弩は強さが足りないかと恐れ、鎧は堅さが足りないかと恐れ、矛は鋭さが足りないかと恐れ、盾は厚さが足りないかと恐れる。もし暴力がなければ、これらはみな捨ててよいものだ。だから言う。白玉が毀たれなければ、誰が珪や璋を作るだろうか。道徳が廃れなければ、どうして仁義を取るだろうか。あの桀や紂のような者たちが、人を焼いて諫める者を罪し、諸侯を干し肉にし、方伯を塩漬けにし、人の心臓を割き、人のすねを砕き、驕りと淫らさの悪を極め、炮烙の虐を行うことができたのは、君主であったから、ほしいままにできたのである。もし彼らがみな一介の庶民であったなら、生まれつきの性は凶悪で奢侈であっても、どうしてそれを実行できようか。彼らに酷を欲しいままにさせ欲を恣にさせ、天下を屠り割かせるのは、君主であることによって意を縦にできるからだ。君臣が立てば、悪はますます増え、そのくせ腕をまくって手かせ足かせの間で働き、すべてを塗炭の苦しみの中に労させようとする。
解説
この章句が説くこと
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