抱朴子外篇 / 廣譬
抱樸子曰:觀聽殊好,愛憎難同。鳥睹西施而驚逝,魚鱉聞九韶而深沈。故兗藻之粲煥,不能悅裸鄉之目;辨菱之清音,不能快楚隸之耳。古公之仁,不能喻欲地之狄;端木之辯,不能釋系馬之庸。
新字:抱樸子曰:観聴殊好,愛憎難同。鳥睹西施而驚逝,魚鱉聞九韶而深沈。故兗藻之粲煥,不能悦裸郷之目;弁菱之清音,不能快楚隸之耳。古公之仁,不能喩欲地之狄;端木之弁,不能釈系馬之庸。
書き下し
抱朴子曰く、観聴は好みを殊にし、愛憎は同じくし難し。鳥は西施を睹て驚き逝き、魚鼈は九韶を聞きて深く沈む。故に袞藻の粲煥は、裸郷の目を悦ばす能わず。辨菱の清音は、楚隷の耳を快くする能わず。古公の仁は、地を欲するの狄に喩す能わず。端木の辯は、馬を系ぐの庸を釈く能わず。
現代語訳
抱朴子は言う。見るものと聞くものは好みを異にし、愛憎は同じくなりにくい。鳥は西施を見て驚き飛び去り、魚や鼈は九韶の楽を聞いて深く沈む。だから礼服の彩りの輝きは、裸の郷の人の目を悦ばせられず、辨菱の清らかな音色は楚の下僕の耳を楽しませられない。古公の仁は土地を欲する狄に分からせることができず、端木の弁舌は、馬を繋いだままの凡庸な者を解き放てない。
解説
鳥は西施を見れば驚いて逃げ、魚は九韶を聞けば深く沈む。美とされるものも、相手に応じて通じません。そこから「古公の仁」「端木の辯」でも説得できない相手がいる、と進みます。価値観の違う相手に、自分の最善を示しても響かないことがあります。提案が通らないとき、中身の質ではなく相手の前提の違いに気づければ、押すか別の言い方を探すか、引くかの選択ができます。誰に何を伝えるかを見極めるのも、説得の一部です。
この章句が説くこと
観聴は好みを殊にし愛憎は同じくし難し魚鼈は九韶を聞きて深く沈む説得価値観相性
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