抱朴子外篇 / 廣譬
抱樸子曰:重淵不洞地,則不能含螭龍,吐吞舟;峻山不極天,則不能韜琳瑯,播雲雨;立德不絕俗,則不能收美聲,著厚實;執誌不絕群,則不能臻成功,銘弘勛。而凡夫朝為蜩翼之善,夕望丘陵之益,猶立植黍稷,坐索於豐收也。
新字:抱樸子曰:重淵不洞地,則不能含螭竜,吐呑舟;峻山不極天,則不能韜琳瑯,播雲雨;立徳不絶俗,則不能収美声,著厚実;執誌不絶群,則不能臻成功,銘弘勛。而凡夫朝為蜩翼之善,夕望丘陵之益,猶立植黍稷,坐索於豊収也。
書き下し
抱朴子曰く、重淵洞地せざれば、則ち螭龍を含み、吞舟を吐く能わず。峻山天を極めざれば、則ち琳瑯を韜み、雲雨を播く能わず。徳を立てて俗を絶せざれば、則ち美声を収め、厚実を著す能わず。志を執りて群を絶せざれば、則ち成功に臻り、弘勲を銘す能わず。而るに凡夫は朝に蜩翼の善を為し、夕べに丘陵の益を望む。猶お黍稷を立植して、坐して豊収を索むるがごとし。
現代語訳
抱朴子は言う。深い淵が大地を貫くほどでなければ、螭龍を抱え、舟を呑む大魚を吐き出すことはできない。険しい山が天を極めるほどでなければ、美しい玉を包み、雲や雨をまくことはできない。徳を立てても俗を抜きんでなければ、美しい名声を収め、厚い実りを現すことはできない。志を守っても群を抜かなければ、成功に至り、大きな勲功を刻むことはできない。ところが凡人は、朝に蝉の羽ほどの小さな善を行い、夕べには丘や陵ほどの利益を望む。それは黍や稷を植えたまま、座って豊作を求めるようなものである。
解説
「徳を立てて俗を絶せざれば、則ち美声を収め、厚実を著す能わず」。淵も山も徳も志も、周りを突き抜ける深さと高さがなければ、大きな成果には至らないと重ねて語る段です。凡人の過ちは、朝に小さな善をして夕方には大きな見返りを望むことで、種を植えて座ったまま豊作を待つのと同じだと言います。人材育成や信頼づくりでも、一度の親切や一件の好成績で評価が変わると期待するのは早すぎます。突き抜けるまでの時間と継続を引き受ける覚悟が、成果を決めます。
この章句が説くこと
徳を立てて俗を絶せざれば朝に蜩翼の善を為し夕べに丘陵の益を望む坐して豊収を索むるがごとし継続徳
関連する章句
-
呂氏春秋・精通③德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
-
論語・衛霊公篇子曰く、由、徳を知る者は鮮なし。
-
論語・為政篇子曰く、之を道びくに政を以てし、之を斉(ととの)うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を道びくに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有り且つ格(いた)る。
-
論語・憲問篇南宮适、孔子に問いて曰く、「羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶に其の死を得ざりき。禹・稷は躬ら稼して天下を有てり。」夫子答えず。南宮适出づ。子曰く、「君子なるかな若き人。徳を尚ぶかな若き人。」
-
論語・為政篇子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰其の所に居て衆星之に共(むか)うが如し。
-
『墨子』親士是の故に天地は昭昭たらず、大水は潦潦たらず、大火は燎燎たらず、王徳は堯堯たらず。者は乃ち千人の長なり。其の直きこと矢の如く、其の平らかなること砥の如きは、萬物を覆うに足らず。是の故に谿の狹き者は速やかに涸れ、逝の淺き者は速やかに竭き、墝埆なる者は其の地育まず。王者の淳き澤も、宫中を出でざれば、則ち國に流るる能わず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る