抱朴子外篇 / 守塉
於是問者抑然,良久口張而不能嗑,首俯而不能仰。慨而嗟乎,始悟立不朽之言者,不以產業汨和,追下帷之績者,不以窺園涓目。子以臭雛之甘呼鴛鳳,擗蟹之計要猛虎,豈不陋乎!鄙哉,子之不夙知也!
新字:於是問者抑然,良久口張而不能嗑,首俯而不能仰。慨而嗟乎,始悟立不朽之言者,不以産業汨和,追下帷之績者,不以窺園涓目。子以臭雛之甘呼鴛鳳,擗蟹之計要猛虎,豈不陋乎!鄙哉,子之不夙知也!
書き下し
是に於て問う者は抑然として、良久しくして口張りて嗑う能わず、首俯して仰ぐ能わず。慨して嗟きて、始めて悟る、不朽の言を立つる者は、産業を以て和を汩さず、下帷の績を追う者は、窺園を以て目を涓さず。子は臭雛の甘きを以て鴛鳳を呼び、擗蟹の計を以て猛虎を要む、豈に陋ならずや。鄙しきかな、子の夙に知らざること」と。
現代語訳
そこで問う者は恐縮してうなだれ、しばらくして口は開いたまま閉じられず、首は俯いて仰ぐことができなかった。嘆息して、はじめて悟った。不朽の言を立てる者は、家業や生計によって心の和を乱さず、帷を下ろして学業を追う者は、庭園をのぞくような気晴らしで目を汚さない。あなたは臭い雛のうまさで鴛鴦や鳳凰を呼び、蟹を割る計略で猛虎を迎えようとする、なんと見識の狭いことか。卑しいことだ、あなたが早く知らなかったことは」と。
解説
論戦の決着の場面です。問い手は口を開いたまま閉じられず、うなだれる。悟ったことは、「不朽の言を立つる者は、産業を以て和を汩さず」。言葉を後世に残す者は、生計の損得で心の調和を乱さない、と。最後の比喩が痛烈で、「臭雛の甘きを以て鴛鳳を呼び」とは、自分が好むものを相手も好むはずと決め込む誤りを指します。親切心から勧めた助言が、相手にとって的外れになる例は職場でも起きます。助言をする前に、相手が何を大事にしているかを聞いたかどうか。そこを確かめる問いです。
この章句が説くこと
不朽の言を立つる者は産業を以て和を汩さず臭雛の甘きを以て鴛鳳を呼び擗蟹の計を以て猛虎を要む助言物差し
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