抱朴子外篇 / 省煩
今五禮混撓,雜飾紛錯,枝分葉散,重出互見,更相貫涉。舊儒尋案,猶多所滯,駁難漸廣異同無已,殊理兼說,歲增月長,自非至精,莫不惑悶。躊躇岐路之衢,悉勞群疑之藪,煎神瀝思,考校判例,嘗有窮年,竟不豁了。治之勤苦,決嫌無地,呻吟尋析,憔悴決角,修之華首不立,妨費日月,廢棄他業,悉困後生,真未央矣。長致章句,多於本書。今若契合雜俗,次比種稷,刪削不急,抗其綱,校其令,炳若日月之著明,灼若五色之有定,息學者萬倍之役,弭諸儒爭訟之煩,將來達者觀之,當美於今之視周矣。此亦改燒石去血食之比,無所憚難,而恨恨於惜懷,推車遲於去巢居也。
新字:今五礼混撓,雑飾紛錯,枝分葉散,重出互見,更相貫渉。旧儒尋案,猶多所滞,駁難漸広異同無已,殊理兼説,歳增月長,自非至精,莫不惑悶。躊躇岐路之衢,悉労群疑之藪,煎神瀝思,考校判例,嘗有窮年,竟不豁了。治之勤苦,決嫌無地,呻吟尋析,憔悴決角,修之華首不立,妨費日月,廃棄他業,悉困後生,真未央矣。長致章句,多於本書。今若契合雑俗,次比種稷,刪削不急,抗其綱,校其令,炳若日月之著明,灼若五色之有定,息学者万倍之役,弭諸儒争訟之煩,将来達者観之,当美於今之視周矣。此亦改焼石去血食之比,無所憚難,而恨恨於惜懐,推車遅於去巣居也。
書き下し
今五礼は混撓し、雑飾紛錯し、枝分かれ葉散じ、重出互見して、更ごも相貫渉す。旧儒の尋案すら、猶お滞る所多く、駁難は漸く広がりて異同已むこと無く、殊理兼説は、歳に増し月に長ず。自ら至精に非ざれば、惑悶せざる莫し。岐路の衢に躊躇し、悉く群疑の藪に労し、神を煎り思いを瀝し、考校判例して、嘗て窮年有るも、竟に豁了せず。之を治むるの勤苦、嫌いを決するに地無く、呻吟尋析し、憔悴決角し、之を修めて華首にして立たず、日月を妨費し、他業を廃棄し、悉く後生を困しめ、真に未だ央きざるなり。長く章句を致して、本書より多し。今若し雑俗に契合し、種稷を次比し、不急を刪削し、其の綱を抗げ、其の令を校せば、炳らかなること日月の著明なるが若く、灼らかなること五色の定まる有るが若く、学者の万倍の役を息め、諸儒争訟の煩いを弭め、将来の達者之を観ば、当に今の周を視るより美なるべし。此れ亦た焼石を改め血食を去るの比にして、難きを憚る所無く、而るに恨恨として懐いを惜しむは、車を推すこと遅くして巣居を去るがごときなり。
現代語訳
いま五礼は入り乱れ、雑多な飾りが錯綜し、枝が分かれ葉が散り、重複して現れ、互いに関わり合っている。昔の儒者が調べても滞るところが多く、反論はしだいに広がって異同は尽きず、異なる理と兼ねた説は年ごとに月ごとに増え続ける。きわめて精しい者でなければ、惑い悩まない者はない。分かれ道の辻でためらい、疑いの群がる藪で苦労し、心を焦がし思いを絞り、比較し例を判じても、一年じゅうかけて、ついにはっきりしない。それを治める苦労は、疑いを決する場所がなく、呻きつつ分析し、憔悴しつつ角を決し、整えても白髪になるまで成らず、月日を費やし、他の仕事を捨て、後進の者をことごとく困らせ、まことに終わりがない。注釈や章句は長々と続き、本文より多い。いまもし世俗に合わせ、種類と系統を並べ、急がないものを削り、その綱領を掲げ、その規則を照らし合わせれば、日月のように明らかに、五色の定まりのように鮮やかになる。学ぶ者の万倍もの労役を止め、諸儒の争いのわずらわしさを鎮め、将来の達者がこれを見れば、今が周を見るよりも美しいと思うだろう。これもまた石で焼く調理を改め生の血の食事を去った例に同じで、難しさをはばかることはない。それなのに、くよくよと胸中を惜しむのは、車を押すのが遅く、巣に住むことをやめるのが遅いようなものだ。
解説
この章句が説くこと
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抱朴子外篇・省煩抱朴子曰く、上を安んじ民を治むるは、礼より善きは莫く、人理を彌綸すること、誠に曲さに備われり。然れども冠婚飲射は、何ぞ煩碎の甚だしきや。人倫は礼有るを以て貴しと為すと雖も、但だ当に以て等威を叙し情敬を表するに足らしむべし、何ぞ升降揖譲の繁重、拜起俯伏の已むこと無きに在らんや。往者天下乂安にして、四方無事なるとき、古を好む官長、時に或いは之を修め、乃ち講試すること月を累ね、督するに楚撻を以てし、昼夜修習し、寝と食とを廃するに至る。時を経て之を学び、一日にして之を試み、巻を執りて事に従い、文を案じて挙動し、黜謫の罰、又た其の間に在り、猶お過誤有りて、其の意を得ず。而るに以て此を生民の常事と為さんと欲するは、至難にして行い難きなり。此れ墨子の所謂、世を累ねても其の学を尽くす能わず、当年にして其の事を究むる能わざる者なり。
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抱朴子外篇・省煩古人は芻蕘に詢い、童謡を博く辨ち、狂夫の言すら、猶お択ぶに在り。墨子の論に至りては、非とする能わざるなり。但だ其の刑網を張り、途径を開き、人事に浹く、王道を備うることは、曲さに述ぶる能わざるのみ。葬の厚きを譏り、礼の煩わしきを刺すに至りては、未だ棄つ可からず。建安の後より、魏の武・文、送終の制は、務めて倹薄に在り、此れ則ち墨子の道、行う可き有るなり。余以為らく、喪乱既に平らぎ、朝野無為なれば、王者の制する所、君より古を作す。精学洽聞の士、才の損益を任ずるに堪え、拘愚を免るる者に命じ、三礼を刪定せしめ、要ならざるを割棄し、其の源流を次し、其の事を総合し、類集して以て相従わしむ可し。其の煩重遊説にして、辞異なるも義同じき者は之を存し、常に行う可からざるは之を除く。傷損する所無く、卒に断約して之を挙ぐ可し、沈隠して復た凝滞する有らしむること勿れ。其の吉凶の器用の物、俎豆觚觶の属、衣冠車服の制、旗章辨色の美、宮室尊卑の品、朝饗賓主の儀、祭奠殯葬の変、郊祀禘祫の法、社稷山川の礼、皆な減省す可し、務めて約倹ならしむ。夫れ約なれば則ち従い易く、倹なれば則ち用少なし。従い易ければ則ち煩わしからず、用少なければ則ち費薄し。煩わしからざれば則ち事に涖む者に過ち無く、費薄ければ則ち調求する者に苛無し。拝休揖譲の節、升降盤旋の容は、事を叙するに足らしめ、小碎ならしむること無かれ。条牒各別にして、案用し易からしむ。
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抱朴子外篇・譏惑抱樸子曰く、澄濁剖判し、庶物化生して、習族は或いは応対する能う有り、毛宗は或いは言を知る有り。玃は往を識り、帰終は来を知り、玄禽は陰陽を解し、虫や虫は豈に泉流に遠からんや。蓍亀も過ぐる無く、甘石も勝つ能わず。夫れ唯だ礼無きは、貴性に廁らず。厥の初め邃古は、民に階級無し。上帝は混然の甚だ陋なるを悼み、巣穴の鄙しむ可きを憫み、故に棟宇を構えて以て鳥獣の群を去り、礼数を制して以て等威の品を異にす。教うるに盤旋を以てし、訓うるに揖譲を以てし、立てば則ち磬折し、拱けば則ち鼓を抱く。趨歩升降の節、瞻視接対の容、三千に至る。蓋し検溢の堤防、人理の急なる所なり。故に儼たること冠は曲礼に若き、貌を望むこと五事に首たり。門を出ずれば賓を見るの粛有り、閑居すれば独りを敬するの戒め有り。顔生は儀を宵浴に整え、仲由は命に臨みて纓を結ぶ。恭容暫く廃すれば、惰慢已に及ぶ。上を安んじ民を治むるは、此に非ざれば以て莫し。
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抱朴子外篇・崇教而るに又、之に加うるに四時の請会、祖送慶賀を以てし、数を思うの密客を要え、贄を執るの嘉賓に接す。人間の務め、密勿として罔極なり。是を以て雅正は稍遠ざかり、遨逸は漸く篤し。其の儒学を去ること、緬乎として邈かなり。能く独り崇替の理を見、自ら淪溺の中より抜け、敗徳の険途を舎てて、長世の大道を履む者は、良に甚だ鮮なり。嗟乎、此れ国を保ち家を安んずる者の至って稀にして、傾撓し泣血する者の無算なる所以なり。今、聖明上に在り、古を稽え物を済い、堤防を堅くして以て決溢を杜ぎ、褒貶を明らかにして以て勧沮を彰らかにす。想うに宗室公族、及び貴門の富年は、必ず当に競って儒術を尚び、藝文を撙節し、老荘の意の急ならざるを釈て、六経の正道を精しくすべし。
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人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
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