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抱朴子外篇 / 疾謬

抱樸子曰:《詩》美睢鳩,貴其有別。在禮,男女無行媒,不相見,不雜坐,不通問,不同衣物,不得親授,姊妹出適而反,兄弟不共席而坐,外言不入,內言不出,婦人送迎不出門,行必擁蔽其面,道路男由左,女由右,此聖人重別杜漸之明制也。且夫婦之間,可謂昵矣,而猶男子非疾病不晝居於內,將終不死婦人之手,況於他乎!昔魯女不幽居深處,以致他扈犖之變;孔妻不密潛戶庭,以起華督之禍;史激無防,有汗種之悔;王孫不嚴,有杜門之辱。而今俗婦女,休其蠶織之業,廢其玄紞之務,不績其麻,市也婆娑。舍中饋之事,修周施之好。更相從詣之適親戚,承星舉火,不已於行,多將侍從,瑋曄盈路,婢使吏卒,錯雜如市,尋道褻謔,可憎可惡。

新字:抱樸子曰:《詩》美睢鳩,貴其有別。在礼,男女無行媒,不相見,不雑坐,不通問,不同衣物,不得親授,姊妹出適而反,兄弟不共席而坐,外言不入,内言不出,婦人送迎不出門,行必擁蔽其面,道路男由左,女由右,此聖人重別杜漸之明制也。且夫婦之間,可謂昵矣,而猶男子非疾病不昼居於内,将終不死婦人之手,況於他乎!昔魯女不幽居深処,以致他扈犖之変;孔妻不密潜戸庭,以起華督之禍;史激無防,有汗種之悔;王孫不厳,有杜門之辱。而今俗婦女,休其蠶織之業,廃其玄紞之務,不績其麻,市也婆娑。舎中饋之事,修周施之好。更相従詣之適親戚,承星舉火,不已於行,多将侍従,瑋曄盈路,婢使吏卒,錯雑如市,尋道褻謔,可憎可悪。

書き下し

抱樸子曰く、詩は睢鳩を美し、其の別有るを貴ぶ。礼に在りては、男女は行媒無くんば相見えず、雑坐せず、通問せず、衣物を同じくせず、親しく授くるを得ず。姉妹出で適ぎて反れば、兄弟は席を共にして坐せず。外言は入らず、内言は出でず。婦人は送迎に門を出でず、行くに必ず其の面を擁蔽す。道路は男は左に由り、女は右に由る。此れ聖人の別を重んじ漸を杜ぐ明制なり。且つ夫れ夫婦の間は、昵しと謂う可きも、猶お男子は疾病に非ざれば昼に内に居らず、将に終わりに婦人の手に死せざらんとす。況んや他に於いてをや。昔、魯女は幽居深処せず、以て他扈犖の変を致す。孔妻は戸庭に密潜せず、以て華督の禍を起こす。史激は防ぐ無く、汚種の悔い有り。王孫は厳ならず、杜門の辱め有り。而るに今の俗の婦女は、其の蚕織の業を休め、其の玄紞の務めを廃し、其の麻を績まず、市に婆娑たり。中饋の事を舎て、周施の好を修む。更相従詣して親戚に適き、星を承け火を挙げて、行くを已まず。多く侍従を将い、瑋曄として路に盈ち、婢使吏卒、錯雑して市の如し。道に尋いて褻謔し、憎む可く悪む可し。

現代語訳

抱樸子は言う。『詩経』は睢鳩の鳥を美しいと称え、その別(けじめ)があることを貴んだ。礼では、男女は仲立ちがなければ会わず、同席して座らず、互いに問い合わせず、衣物を共用せず、直接手渡しすることもない。姉妹が嫁いで帰ってきても、兄弟は同じ席に座らない。外のことは内に入れず、内のことは外に出さない。婦人は送り迎えに門を出ず、外出するときは必ず顔を覆い隠す。道を行くときは男は左、女は右を通る。これは聖人が男女の別を重んじ、乱れの兆しを断つために定めた明らかな制度である。夫婦の間は親しいと言えるが、それでも男子は病気でなければ昼間に奥にいず、最期は婦人の手の中で死ぬことのないようにする。まして他人との間ではなおさらである。昔、魯の女が奥深く閉じこもらなかったために、他の者の起こした変事を招いた。孔の妻が戸庭に慎んで潜まなかったために、華督の禍が起きた。史激は防ぐ備えがなく、汚れた種を残す悔いがあり、王孫は厳しくなく、門を閉ざすという辱めを受けた。ところが今の世の婦女は、蚕や機織りの仕事を休み、冠の紐を作る務めを廃し、麻を紡がず、市でうろうろ遊んでいる。家の食事の仕事を捨てて、あちこちに贈り物をする交際に励む。互いに訪ね合って親戚のもとへ行き、星の下で松明を挙げて、行くのをやめない。多くの侍従を連れ、華やかに道を埋め、下女や下僕、役人や兵卒が入り交じって市のようになり、道を行きながら冗談を言い合い、憎むべく嫌うべき様である。

解説

この段は男女のけじめを古礼に求め、当時の女性の外出と交際を批判するものです。「聖人が別を重んじ漸を杜ぐ」という原文の趣旨は、乱れは小さな兆しから広がるので、早く境界を引くべきだということにあります。今日の価値観で見れば男女の扱いは明らかに時代の制約を負っており、そのまま受け取ることはできません。ただ、組織の線引きという視点では参考になります。慣れ合いが公私や上下の境界を溶かし、不祥事の温床になるとき、事後の処罰より前に境界を示すほうが効く、という考え方です。

この章句が説くこと

漸を杜ぐ明制なり聖人の別を重んじ外言は入らず内言は出でず境界礼

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