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抱朴子外篇 / 酒誡

抱朴子答曰:「酒旗之宿,則有之矣。譬猶懸象著明,莫大乎日月;水火之原,於是在焉。然節而宣之,則以養生立功;用之失適,則焚溺而死。豈可恃懸象之在天,而謂水火不殺人哉?宜生之具,莫先於食;食之過多,實結癥瘕。況於酒醴之毒物乎!夫使彼夏桀殷紂信陵漢惠荒流於亡國之淫聲,沈溺於傾城之亂色,皆由乎酒熏其性,醉成其勢,所以致極情之失,忘修飾之術者也。我論其本,子識其末,謂非酒禍,禍其安出?是獨知猛雨之沾衣,而不知雲氣之所作;唯患飛埃之糝目,而不覺飈風之所為也。

新字:抱朴子答曰:「酒旗之宿,則有之矣。譬猶懸象著明,莫大乎日月;水火之原,於是在焉。然節而宣之,則以養生立功;用之失適,則焚溺而死。豈可恃懸象之在天,而謂水火不殺人哉?宜生之具,莫先於食;食之過多,実結癥瘕。況於酒醴之毒物乎!夫使彼夏桀殷紂信陵漢恵荒流於亡国之淫声,沈溺於傾城之乱色,皆由乎酒熏其性,酔成其勢,所以致極情之失,忘修飾之術者也。我論其本,子識其末,謂非酒禍,禍其安出?是独知猛雨之沾衣,而不知雲気之所作;唯患飛埃之糝目,而不覚飈風之所為也。

書き下し

抱朴子答えて曰く、「酒旗の宿は、則ち之有り。譬えば猶お象を懸けて著明なること、日月より大なるは莫く、水火の原も、是に在るがごとし。然れども節して之を宣ぶれば、則ち以て生を養い功を立て、用いて適を失えば、則ち焚溺して死す。豈に懸象の天に在るを恃みて、水火は人を殺さずと謂う可けんや。生に宜しきの具は、食より先なるは莫し。食の過多なれば、実に癥瘕を結ぶ。況んや酒醴の毒物をや。夫れ彼の夏桀・殷紂・信陵・漢恵をして、亡国の淫声に荒流し、傾城の乱色に沈溺せしむるは、皆酒の其の性を熏じ、醉いの其の勢いを成すに由り、情を極むるの失を致し、修飾の術を忘るる所以なり。我は其の本を論じ、子は其の末を識る、酒の禍に非ずと謂わば、禍は其れ安くにか出でん。是れ独り猛雨の衣を沾すを知りて、雲気の作る所を知らず、唯だ飛埃の目を糝するを患えて、飈風の為す所を覚えざるなり。

現代語訳

抱朴子は答えて言う。「酒旗の星座というものは、確かにある。たとえば天に象を懸けて明らかなものは日月より大きなものはなく、水と火の根源もそこにあるようなものだ。しかし節度をもってこれを用いれば、生を養い功を立て、用い方を誤れば、焼かれ溺れて死ぬ。どうして天に象が懸かっていることを頼みとして、水や火は人を殺さないと言えようか。生に宜しい道具は、食より先のものはない。食が度を過ぎれば、実際に腹の塊を結ぶ。まして酒という毒物においてはなおさらである。あの夏の桀や殷の紂、信陵君、漢の恵帝が、亡国の淫らな音楽に溺れ流され、国を傾ける乱れた色に沈溺したのは、みな酒が彼らの本性を燻し、酔いがその勢いを成したことによるもので、情を極める過ちを招き、身を飾り慎む術を忘れたことの所以である。私は根本を論じ、君は末端を見ている。酒の禍ではないと言うなら、禍はどこから出ようか。これは猛雨が衣を濡らすのを知るだけで、雲気の生じるところを知らず、飛ぶ埃が目に入るのを憂えるだけで、つむじ風の仕業に気づかないのと同じである。

解説

葛洪の反駁は、酒旗の星座があることは認めつつ、水と火の喩えで返します。「節して之を宣ぶれば、則ち以て生を養い功を立て、用いて適を失えば、則ち焚溺して死す」と、有用なものほど用い方を誤れば致命的だと述べます。さらに桀紂らの滅亡を声色の過ちとする反論に対し、声色に溺れさせたのは酒の働きだという因果の整理を示します。「我は其の本を論じ、子は其の末を識る」と、直接の原因と引き金の関係を問う議論です。表面の症状だけを見て対処すると、根の問題が残る。不祥事の原因分析でも使える視点です。

この章句が説くこと

節して之を宣ぶれば用いて適を失えば我は其の本を論じ子は其の末を識る原因節度

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