抱朴子外篇 / 名實
「所以體道合真,嶷然特立,才遠量逸,懷霜履冰,思綿天地,器兼元凱,執經衡門,淵渟嶽立。寧潔身以守滯,恥脅肩以茍合。樂饑陋巷,以勵高尚之節;藏器全真,以待天年之盡。非時不出,非禮不動。結褐嚼蔬,而不悒悒也;黃發終否,而不悢悢也。安肯蹙太山之峻,以適鑿枘之中;斂垂天之羽,為戒旦之役?編於仕類,而抑郁庸兒之下。舍鸞鳳之林,適枳棘之藪,競腐鼠於踞鴟,而枉尺以直尋哉!
新字:「所以体道合真,嶷然特立,才遠量逸,懐霜履冰,思綿天地,器兼元凱,執経衡門,淵渟嶽立。寧潔身以守滞,恥脅肩以苟合。楽饑陋巷,以励高尚之節;蔵器全真,以待天年之尽。非時不出,非礼不動。結褐嚼蔬,而不悒悒也;黄発終否,而不悢悢也。安肯蹙太山之峻,以適鑿枘之中;斂垂天之羽,為戒旦之役?編於仕類,而抑郁庸児之下。舎鸞鳳之林,適枳棘之藪,競腐鼠於踞鴟,而枉尺以直尋哉!
書き下し
「体道合真し、嶷然として特立し、才遠く量逸し、霜を懐き氷を履み、思いは天地に綿り、器は元凱を兼ね、経を衡門に執り、淵のように渟まり嶽のように立つ所以は、寧ろ身を潔くして以て滞に守るも、肩を脅やかして以て苟くも合するを恥ずればなり。饑を陋巷に楽しみて以て高尚の節を励まし、器を藏し真を全くして以て天年の尽くるを待つ。時に非ざれば出でず、礼に非ざれば動かず。褐を結び蔬を嚼みて悒悒とせず、黄髪まで否に終わるも悢悢とせず。安んぞ肯えて太山の峻を蹙めて以て鑿枘の中に適せしめんや。垂天の羽を斂めて、戒旦の役と為さんや。仕類に編まれて、庸児の下に抑鬱せんや。鸞鳳の林を舎てて、枳棘の藪に適き、腐鼠を踞鴟と競い、尺を枉げて以て尋を直くせんや。
現代語訳
「道を体得して真に合し、そびえ立って特に独り立ち、才は遠く度量は優れ、霜を懐き氷を履むほど慎み、思いは天地に及び、器は八元・八愷を兼ね、粗末な門のもとで経書を守り、淵のように静まり山のように立つのは、むしろ身を清く保って滞りを守っても、肩をすくめて苟くも合わせることを恥じるからである。粗末な路地裏で飢えを楽しんで高尚な節を励まし、器を蔵して真を全うして天寿が尽きるのを待つ。時でなければ出ず、礼でなければ動かない。粗い衣をまとい野菜を噛んでも憂えず、白髪になるまで不遇に終わっても悔やまない。どうして泰山の険しさを縮めて、ほぞ穴の中に収めようとするだろうか。天に垂れる大きな翼をたたんで、夜明けを告げる鶏の役をしようとするだろうか。官吏の列に編まれて、凡庸な者の下に押し込められるだろうか。鸞や鳳の林を捨てて、枳やいばらの茂みに行き、腐った鼠を梟と奪い合い、一尺を曲げて一尋を伸ばすようなことをするだろうか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
抱朴子外篇・名實「且つ大賢の状は至って拙く、其の味は甚だ淡し。蕭然として自ら足り、泊爾として知る無く、之を知る者稀なるも戚えず、時に用いる能わざるも悶えず。並日に藜藿の糝無しと雖も、以て不義の太牢に易えず。縕袍に卒歳の服無しと雖も、肯えて無道の狐白を楽しまず。独り髪を散じ枕を高くし、其の有する所を守るべきのみ。絶えて躬を曲げ眉を低くして、其の未だ須いざる所を求めず。徳薄く位厚きは交わらず。名と実と違うは親しまず。栄華の馳逐は務めず。豪侠・奸権は接せず。俗説・細辨は答えず。肩を脅やかして赴く所は随わず。貌愚にして志遠く、面垢れて行い潔し。確乎として嵩・岱のごとく、銓衡の測る能わざる所なり。浩乎として滄海のごとく、斗斛の校ぶる能わざる所なり。其の重仞の高きを峻くし、其の百官の富を隠す。彼の佻窃を観ること草莽のごとし。邈世の操は、眇焉として秋雲の表に冠たり。遺俗の神は、緬焉として九玄の端に棲む。窮賤なりと雖も、威を以て脅かす可からず。危苦なりと雖も、利を以て動かす可からず。
-
抱朴子外篇・廣譬抱朴子曰く、分に非ざるの達は、猶お林卉の冬に華くがごときなり。道を守るの窮は、猶お竹柏の霜を履むがごときなり。故に否泰を独り見るに識る者は、劫かすに鋒鋭を以てすと雖も、猶お正を失わずして途を改む。安んぞ肯えて諂い笑いて以て俗に偶わんや。方貞を体して以て直に居る者は、誘うに封国を以てすと雖も、猶お情に違わずして時に趨く。安んぞ肯えて径を躐えて以て容を取らんや。
-
抱朴子外篇・名實「其の業尚する所は、聞く可くして尽くす可からず。其の執守する所は、見る可くして論ず可からず。故に之を疾む者は、声を斉しくして目を側ぐ。之を愛する者は、寡弱にして益無し。亦た猶お撮壌の決河を填むる能わず、升水の原火を殄す能わざるがごとし。是に於て鼖鼓は雷霆の音を戢め、鞉鞞は喋鼛の響きを恣にす。芳蕙は芟夷せられ、臭鮑は佩禦せらる。玄鬯は傾け棄てて羞じず、醨酪は専ら円丘に灌ぐ。汗血は駆り放たれて耳を垂れ、跛蹇は鑾軒に馳騁す。此れ古人の沙を懐き石を負い、流れに赴き魚に葬られて、之と世を同じくするに堪えざる所以なり。已んぬるかな、悲しいかな。
-
抱朴子外篇・任命「士は能く貴ぶ可きの行いを為せども、俗をして必ず之を貴ばしむる能わず。能く用う可きの才と為れども、世をして必ず之を用いしむる能わず。褐を被て草を茹い兎を罝すれば、則ち心歓び意得て、将に身を終えんとするが如く、冕を服し軺に乗り、朱を兼ね紫を重ぬれば、則ち固より有するが若し。常に布衣の如くなるは、此れ至人の懐を用うるなり。席上の珍積まず、環堵の操粋ならざるが若きは、予の罪なり。之を知る者希にして、名位の臻らず、玉を以て石と為し、鳳を謂いて鷃と曰う者は、余の罪に非ざるなり。夫れ見知を汲汲とし、否滞を悒悒とするは、裳民の情なり。浩然として気を養い、淡爾として欲靡きは、悶うる無きの志なり。時至り道行わるれば、器の大なる者は悦ばず。天地の間、命を知る者は憂えず。若し乃ち万金の貨に徇いて、以て百十の售を索めば、多く失い幹毛を乾かさん。我は則ち未だ暇あらざるなり」と。
-
抱朴子外篇・廣譬抱朴子曰く、与奪も其の神を汨さざる者は、至粋なる者なり。利害も其の和を染めざる者は、極醇なる者なり。浩浩乎として瓢觶の校ぶる所に非ず、茫茫乎として跬歩の尋ぬる所に非ず。声希なる所以は大音為ればなり、和寡なる所以は我が貴きを崇ぶ。玄黄遼邈として与に□其の曠きをせず、死生大なり、而るに以て其の守を改めず。常分の細碎、将に胡ぞ恤えんや。
-
抱朴子外篇・廣譬抱朴子曰く、徳を立て言を践み、行全く操清きは、斯れ則ち富めり、何ぞ必ずしも玉帛の崇きならんや。其の志を高尚にし、降らず辱められざるは、斯れ則ち貴し、何ぞ必ずしも青紫の兼ね拕くならんや。俗民は其の度量を識る能わず、庸夫は其の銓衡を揣るを得ず、是れ則ち高し、何ぞ必ずしも雲を淩ぎて霓を蹈まんや。問う者は或いは其の淵流を測る莫く、求むる者は未だ其の短乏を覚る有らず、是れ則ち深し、何ぞ必ずしも河を洞り海に淪まんや。四海苟くも備われば、室に懸磬の窶有りと雖も、以て山を鋳て海を煮るを羨むこと無かる可く、身は鳥獣の群に処るも、以て朱輪華轂を渇せざる可し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る