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抱朴子外篇 / 名實

方之貨也,則緘連以待賈者,唯至珍而難售;鳴鼓以徇之者,雖凡蔽而易盡。比之材也,則結根於嵩岱者,雖竦蓋千仞,垂蔭萬畝,而莫之知也;插株途要者,雖鉤曲戾細而速朽,而猶見用也。故廟堂有枯楊之瑚簋,窮谷多不伐之梓橡也。是以竊華名者,螻蜥騰於雲霄;失實賈者,翠虬淪乎九泉。於是斥鷃淩風以高奮,靈鳳卷翮以幽戢,鉛鋒充太阿之寶,犬羊佻虎狼之資矣。夫佞者鼓珍賂為勁羽,則無高而不到矣;乘朋黨為舟楫,則無遠而不濟矣。

新字:方之貨也,則緘連以待賈者,唯至珍而難售;鳴鼓以徇之者,雖凡蔽而易尽。比之材也,則結根於嵩岱者,雖竦蓋千仞,垂蔭万畝,而莫之知也;挿株途要者,雖鉤曲戻細而速朽,而猶見用也。故廟堂有枯楊之瑚簋,窮谷多不伐之梓橡也。是以窃華名者,螻蜥騰於雲霄;失実賈者,翠虬淪乎九泉。於是斥鷃淩風以高奮,霊鳳巻翮以幽戢,鉛鋒充太阿之宝,犬羊佻虎狼之資矣。夫佞者鼓珍賂為勁羽,則無高而不到矣;乗朋党為舟楫,則無遠而不済矣。

書き下し

之を貨に方うれば、則ち緘連して賈を待つ者は、唯だ至珍にして售り難し。鼓を鳴らして以て之に徇うる者は、凡蔽なりと雖も尽き易し。之を材に比ぶれば、則ち根を嵩・岱に結ぶ者は、竦蓋は千仞、垂蔭は万畝なりと雖も、之を知る莫し。株を途の要に挿す者は、鉤曲戻細にして速やかに朽つと雖も、猶お用いらる。故に廟堂には枯楊の瑚簋有り、窮谷には伐られざるの梓・橡多し。是を以て華名を窃む者は、螻蜥雲霄に騰り、実賈を失う者は、翠虬九泉に淪む。是に於て斥鷃は風を凌ぎて以て高く奮い、霊鳳は翮を巻きて幽かに戢まり、鉛鋒は太阿の宝に充てられ、犬羊は虎狼の資を佻う。夫れ佞者は珍賂を鼓して勁羽と為せば、高くして到らざる無く、朋党に乗じて舟楫と為せば、遠くして済らざる無し。

現代語訳

これを商品にたとえれば、包みを固くして買い手を待つ品は、最高の珍宝であるがゆえに売れにくい。鼓を鳴らして売り歩く品は、平凡でつまらなくても売り尽くしやすい。これを木材にたとえれば、嵩山や泰山に根を結んだ木は、そびえる高さは千仞、垂れる陰は万畝に及んでも、誰も知らない。道ばたの要所に挿した株は、曲がって細く、すぐ朽ちても、なお用いられる。だから廟堂には枯れた楊の祭器があり、深い谷には伐られない梓や橡が多い。そのため、華やかな名を盗む者は、地虫やとかげが雲に上り、実質の値を失う者は、翠の龍が九泉に沈む。そこで、小さな雀が風を凌いで高く奮い、霊鳳は羽をたたんで人知れず収まり、鉛の刃が太阿の名剣の座に充てられ、犬や羊が虎狼の資質を装う。そもそも佞人は珍宝や賄賂を鳴らして強い羽とすれば、高くて届かない所はなく、朋党を頼んで舟とすれば、遠くて渡れない所はない。

解説

売れ方の逆転を、商品と木材の例で示します。「緘連して賈を待つ者は、唯だ至珍にして售り難し」。本物ほど売り込まず、安い品ほど鼓を鳴らして売り尽くす。嵩山や泰山の大木は知られず、道端の細い株は用いられる、という具合です。結果として「廟堂には枯楊の瑚簋有り」と、枯れた木が祭器になる世が生まれます。佞人は賄賂を羽に、朋党を舟にして、届かない所がない。人事で、売り込みの声が大きい人が先に評価される構造を疑う視点です。可視化されない貢献を拾う仕組みが、組織の健全さを保ちます。

この章句が説くこと

緘連して賈を待つ者は廟堂には枯楊の瑚簋有り華名を窃む者は朋党に乗じて舟楫と為せば売込佞人

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