抱朴子外篇 / 交際
「由茲論之,則交彼而遇者,雖得達不足貴;芘之而誤者,譬如蔭朽樹之被笮也。彼尚不能自止其顛蹶,亦安能救我之碎首哉!吾聞大丈夫之自得而外物者,其於庸人也,蓋逼迫不獲已而與之形接,雖以千計,猶蚤虱之積乎衣,而贅疣之攢乎體也。失之雖以萬數,猶飛塵之去嵩岱,鄧林之墮朽條耳。豈以有之為益,無之覺損乎?「且夫朋友也者,必取乎直諒多聞,拾遺斥謬,生無請言,死無托辭,終始一契,寒暑不渝者。然而此人良未易得,而或默語殊途,或憎愛異心,或盛合衰離,或見利忘信。其處今也,璧猶禽魚之結侶,冰炭之同器,欲其久合,安可得哉!夫父子天性,好惡宜鈞,而子政子駿,平論異隔;南山伯奇,辯訟有無。面別心殊,其來尚矣。總而混之,不亦難哉!
新字:「由茲論之,則交彼而遇者,雖得達不足貴;芘之而誤者,譬如蔭朽樹之被笮也。彼尚不能自止其顛蹶,亦安能救我之砕首哉!吾聞大丈夫之自得而外物者,其於庸人也,蓋逼迫不獲已而与之形接,雖以千計,猶蚤虱之積乎衣,而贅疣之攢乎体也。失之雖以万数,猶飛塵之去嵩岱,鄧林之堕朽条耳。豈以有之為益,無之覚損乎?「且夫朋友也者,必取乎直諒多聞,拾遺斥謬,生無請言,死無托辞,終始一契,寒暑不渝者。然而此人良未易得,而或黙語殊途,或憎愛異心,或盛合衰離,或見利忘信。其処今也,璧猶禽魚之結侶,冰炭之同器,欲其久合,安可得哉!夫父子天性,好悪宜鈞,而子政子駿,平論異隔;南山伯奇,弁訟有無。面別心殊,其来尚矣。総而混之,不亦難哉!
書き下し
「茲に由りて之を論ずれば、則ち彼に交わりて遇う者は、達するを得と雖も貴ぶに足らず。之に芘りて誤る者は、譬えば朽樹に蔭して笮せらるるが如し。彼すら尚お自ら其の顛蹶を止むる能わず、亦た安くんぞ我が碎首を救う能わんや。吾は聞く、大丈夫の自得して外物する者は、其の庸人に於けるや、蓋し逼迫して已むを獲ずして之と形接するのみ。千を以て計うと雖も、猶お蚤虱の衣に積み、贅疣の体に攢まるがごとし。之を失うこと万を以て数うと雖も、猶お飛塵の嵩岱を去り、鄧林の朽条を墮とすがごときのみ。豈に之を有するを益と為し、之無きを損と覚えんや。「且つ夫れ朋友なる者は、必ず直諒多聞を取り、遺を拾い謬を斥け、生きては請言する無く、死しては托辞する無く、終始一契にして、寒暑にも渝らざる者なり。然れども此の人は良に未だ得易からず、或いは黙語は途を殊にし、或いは憎愛は心を異にし、或いは盛んなれば合い衰うれば離れ、或いは利を見て信を忘る。其の今に処するや、璧は猶お禽魚の侶を結ぶがごとく、冰炭の器を同じくするがごとし。其の久しく合わんことを欲するも、安くんぞ得べけんや。夫れ父子は天性にして、好悪は宜しく鈞しかるべきに、子政・子駿は、平論に異隔し、南山・伯奇は、辯訟に有無あり。面別れて心殊なること、其の来たること尚し。総べて之を混ぜんとするは、亦た難からずや。
現代語訳
「こうして論じれば、あの人と交わって栄達に出会った者は、達したとしても貴ぶに足りない。その庇護に頼って誤る者は、朽ちた木の陰に入って押しつぶされるようなものだ。彼自身が転び倒れることすら止められないのに、どうして私が頭を砕かれるのを救えようか。私はこう聞く。自得して外物を軽んじる大丈夫は、凡人に対しては、せまられてやむを得ず形の上で接するだけである。たとえ千を数えても、虱が衣にたまり、こぶやいぼが体に集まるようなものにすぎない。万を数えて失っても、舞う塵が嵩山や泰山から去り、鄧林の朽ちた枝が落ちるようなものにすぎない。どうして持っていて得とし、なくて損と感じようか。そもそも朋友とは、必ず正直で誠実で博識な者を選び、落ちた過ちを拾い誤りを退け、生きている間は頼みごとをせず、死んでも遺言を託さず、始めから終わりまで一つの契りで、寒暑にも変わらない者のことである。しかしこのような人は本当に得がたい。沈黙と言葉の途が違い、憎しみと愛の心が異なり、盛んなときは合い衰えれば離れ、利を見ては信を忘れる。今の世では、璧と鳥や魚が連れ立つようであり、氷と炭が一つの器に入るようなもので、長く合っていようとしてもできるものではない。父子は天性であり好悪は等しいはずなのに、劉向と劉歆は、平論にも隔たりがあり、尹吉甫と伯奇は、訴えの場で有無を争った。顔は別れ心は異なるのは、昔からのことである。それらを全部ひとつに混ぜようとするのは、難しいではないか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
孟子・離婁章句上孟子曰く、「下位に居りて、上に獲られざれば、民得て治む可からざるなり。上に獲らるるに道有り。友に信ぜられずんば、上に獲られず。友に信ぜらるるに道有り。親に事えて悅ばれずんば、友に信ぜられず。親に悅ばるるに道有り。身に反して誠ならずんば、親に悅ばれず。身を誠にするに道有り。善に明らかならずんば、其の身に誠ならず。是の故に誠は、天の道なり。誠を思うは、人の道なり。至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり。誠ならずして、未だ能く動かす者有らざるなり。」
-
徒然草・第233段万の科あらじと思はば、何事にも誠ありて、人を分かず恭しく、言葉すくなからむには如かじ。男女老少みなさる人こそよけれども、殊に若くかたちよき人の、言うるはしきは、忘れがたく思ひつかるゝものなり。よろづのとがは、馴れたるさまに上手めき、所得たるけしきして、人をないがしろにするにあり。
-
論語・為政篇子曰く、詩三百、一言以て之を蔽えば、曰く、思い邪(よこしま)無しと。
-
史記 儒林列伝申公之を恥ぢ、魯に帰り、退きて家に居りて教へ、終身門を出でず、復た賓客を謝絶し、独り王命之を召せば乃ち往く。弟子遠方より至りて業を受くる者百余人。申公独り詩経を以て訓と為して以て教ふ、伝無し、疑はしき者は則ち闕きて伝へず。
-
孟子・離婁章句下孟子曰く、「言に実無きは、不詳(ふしやう)なり。不詳の実は、賢を蔽ふ者之に当たる。」
-
尚書・周官德を作せば心逸んじて日々休く、偽を作せば心勞して日々拙し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る