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抱朴子外篇 / 時難

夫以賢說聖,猶未必即受,故伊尹幹湯,至於七十也。以智告愚,則必不入,故文諫紂,終不納也。言不見信,猶之可也。若乃李斯之誅韓非,龐涓之刖孫臏,上官之毀屈平,袁盎之中晁錯,不可勝載也。為臣不易,豈一途也哉!蓋往而不反者,所以功在身後;而藏器俟時者,所以百無一遇。高勛之臣曠代而一有;陷冰之徒,委積乎史策。悲夫,時之難遇也,如此其甚哉!由茲以言,吾知渭濱呂尚之儔,巖間傅說之屬,懷其王佐之器,抱其邈世之材,秉竿擁築,老死於庸兒之伍,而遂不遭文王高宗者,必不訾矣。

新字:夫以賢説聖,猶未必即受,故伊尹幹湯,至於七十也。以智告愚,則必不入,故文諫紂,終不納也。言不見信,猶之可也。若乃李斯之誅韓非,龐涓之刖孫臏,上官之毀屈平,袁盎之中晁錯,不可勝載也。為臣不易,豈一途也哉!蓋往而不反者,所以功在身後;而蔵器俟時者,所以百無一遇。高勛之臣曠代而一有;陥冰之徒,委積乎史策。悲夫,時之難遇也,如此其甚哉!由茲以言,吾知渭浜呂尚之儔,巖間傅説之属,懐其王佐之器,抱其邈世之材,秉竿擁築,老死於庸児之伍,而遂不遭文王高宗者,必不訾矣。

書き下し

夫れ賢を以て聖に説くすら、猶お未だ必ずしも即ち受けず、故に伊尹は湯に幹むること、七十に至る。智を以て愚に告ぐれば、則ち必ず入らず、故に文は紂を諫むるも、終に納れられず。言の信ぜられざるは、猶お之を可とす。若し乃ち李斯の韓非を誅し、龐涓の孫臏を刖り、上官の屈平を毀り、袁盎の晁錯に中つるは、勝げて載す可からず。臣為ること易からず、豈に一途のみならんや。蓋し往きて反らざる者は、功の身後に在る所以、而して器を蔵して時を俟つ者は、百に一の遇う無き所以なり。高勲の臣は曠代に一たび有り、陥冰の徒は、史策に委積す。悲しいかな、時の遇い難きや、此の其の甚だしきこと。茲に由りて言えば、吾は渭浜の呂尚の儔、巖間の傅説の属、其の王佐の器を懐き、其の邈世の才を抱き、竿を秉り築を擁して、庸児の伍に老死し、遂に文王・高宗に遭わざる者の、必ず訾る無きを知る。

現代語訳

賢者が聖人に説いても、なお必ずしもすぐには受け入れられず、だから伊尹は湯王に仕官を求めること七十回に至った。智者が愚者に告げれば、必ず入らず、だから文王は紂王を諫めたが、ついに受け入れられなかった。言が信じられないのは、まだしも許せる。しかし李斯が韓非を誅し、龐涓が孫臏の足を斬り、上官大夫が屈原を中傷し、袁盎が晁錯を陥れたような例は、挙げ尽くせない。臣であることは容易ではなく、その難しさは一つの道だけではない。思うに、進んで戻らない者は、功が死後にある理由であり、才器を蔵して時を待つ者は、百に一度も機会に遇えない理由である。高い勲功の臣は世を隔てて一人現れるだけで、氷を割って沈んだ者は、史書に積み重なっている。悲しいことよ、時に遇うことの難さは、これほどまでに甚だしい。ここから言えば、私は渭水のほとりの呂尚の仲間、岩間の傅説の仲間が、王を佐ける器を懐き、世にまれな才を抱きながら、釣り竿を手にし杵を抱えて、凡庸な者の中で老いて死に、ついに文王や高宗に遇わなかった者が、きっと少なくなかったことを知っている。

解説

前段の「談の時の難き」を受け、賢者でも聖人に容れられず、智者が愚者に告げても入らない、という実例を重ねます。伊尹が湯に七十回求めたことや、李斯・韓非、龐涓・孫臏など、才を持ちながら遇えない例を挙げ、結びでは呂尚や傅説のように、遇わずに終わった無名の賢人の存在を想像します。注目点は、成功した例の背後に、機会を得られなかった多数がいるという見方です。現代の組織でも、能力が埋もれたままの人材は少なくありません。人材の発掘と登用の仕組みを、自分の目の届く範囲で整える責任を考えさせる一段です。

この章句が説くこと

臣為ること易からず器を蔵して時を俟つ者は百に一の遇う無き所以なり時の遇い難きや埋没機会

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