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抱朴子外篇 / 崇教

漢之末世,吳之晚年,則不然焉。望冠蓋以選用,任朋黨之華譽,有師友之名,無拾遺之實。匪唯無益,乃反為損。故其所講說,非道德也;其所貢進,非忠益也。唯在於新聲艷色,輕體妙手,評歌謳之清濁,理管弦之長短,相狗馬之剿駑,議遨遊之處所,比錯途之好惡,方雕琢之精粗,校彈棋樗蒲之巧拙,計漁獵相掊之勝負,品藻妓妾之妍蚩,指摘衣服之鄙野,爭騎乘之善否,論弓劍之疏密。招奇合異,至於無限,盈溢之過,日增月甚。

新字:漢之末世,呉之晩年,則不然焉。望冠蓋以選用,任朋党之華誉,有師友之名,無拾遺之実。匪唯無益,乃反為損。故其所講説,非道徳也;其所貢進,非忠益也。唯在於新声艶色,軽体妙手,評歌謳之清濁,理管弦之長短,相狗馬之剿駑,議遨遊之処所,比錯途之好悪,方雕琢之精粗,校弾棋樗蒲之巧拙,計漁猟相掊之勝負,品藻妓妾之妍蚩,指摘衣服之鄙野,争騎乗之善否,論弓剣之疏密。招奇合異,至於無限,盈溢之過,日增月甚。

書き下し

漢の末世、呉の晩年は、則ち然らず。冠蓋を望みて以て選用し、朋党の華誉に任せ、師友の名有りて、拾遺の実無し。唯だ益無きのみに匪ず、乃ち反って損と為る。故に其の講説する所は、道徳に非ず。其の貢進する所は、忠益に非ず。唯だ新声艶色、軽体妙手、歌謳の清濁を評し、管弦の長短を理め、狗馬の剿駑を相し、遨遊の処所を議し、錯途の好悪を比し、雕琢の精粗を方べ、彈棋樗蒲の巧拙を校べ、漁猟相掊の勝負を計り、妓妾の妍蚩を品藻し、衣服の鄙野を指摘し、騎乗の善否を争い、弓剣の疏密を論ずるに在り。奇を招き異を合わせ、限り無きに至り、盈溢の過ち、日に増し月に甚だし。

現代語訳

漢の末世や呉の晩年は、そうではなかった。冠や車蓋の立派さを見て人を選び用い、徒党の華やかな誉めそやしに任せ、師や友という名はあっても、足りない所を補い正す実質がない。ただ益がないだけでなく、かえって損になる。だからその講じ説く所は道徳ではなく、その推し進める所は忠義や益のある事ではない。ただ新しい音楽やなまめかしい色、軽やかな身のこなしや巧みな手業、歌謡の清濁を論じ、管弦の長短を整え、犬や馬の優劣を見定め、遊び歩く場所を相談し、碁盤の道の好き嫌いを比べ、彫刻の精粗を並べ、弾棋や樗蒲の巧拙を較べ、狩りや漁の勝ち負けを数え、妓女や妾の美醜を品定めし、衣服の野暮ったさを指摘し、乗馬の上手下手を争い、弓や剣の密か粗かを論じるばかりである。珍奇を招き寄せ異様を集めて限りがなく、度を越した過ちは日ごと月ごとにひどくなる。

解説

漢末や呉の末期の師友が「冠蓋を望みて以て選用」された結果、講じる内容が音楽、犬馬、遊興の品定めばかりになった、と描きます。名目は師友でも「拾遺の実」がなければ、益どころか損になるというのが要点です。肩書や家柄で選んだ側近が、上司の好みに合わせた話ばかりする状況は今も見かけます。人を置く目的を、意見の足りない部分を補う役として定めておかないと、役職名だけが残って中身が空になります。選ぶ時点で見るべきは、肩書の立派さより、何を語る人かです。

この章句が説くこと

冠蓋を望みて以て選用し師友の名有りて拾遺の実無し盈溢の過ち人選側近

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