抱朴子外篇 / 崇教
先哲居高,不敢忘危,愛子欲教之義方,雕琢切磋,弗納於邪偽。選明師以象成之,擇良友以漸染之,督之以博覽,示之以成敗,使之察往以悟來,觀彼以知此,驅之於直道之上,斂之乎檢括之中,懍乎若跟掛於萬仞,栗然有如乘奔以履冰。故能多遠悔吝,保其貞吉也。昔諸竇蒙遺教之福,霍禹受率意之禍,中山東平以好古而安,燕剌由面墻而危。前事不忘,今之良鑒也。湯武染乎伊呂,其興勃然;辛癸染乎推崇,其亡忽焉。朋友師傅,尤宜精簡。必取寒素德行之士,以清苦自立,以不群見憚者。其經術如仲舒桓榮者,強直若龔遂王吉者,能朝夕講論忠孝之至道,正色證存亡之軌跡,以洗濯垢涅,閑邪矯枉,宜必抑情遵憲法,入德訓者矣。
新字:先哲居高,不敢忘危,愛子欲教之義方,雕琢切磋,弗納於邪偽。選明師以象成之,択良友以漸染之,督之以博覧,示之以成敗,使之察往以悟来,観彼以知此,駆之於直道之上,斂之乎検括之中,懍乎若跟掛於万仞,栗然有如乗奔以履冰。故能多遠悔吝,保其貞吉也。昔諸竇蒙遺教之福,霍禹受率意之禍,中山東平以好古而安,燕剌由面墻而危。前事不忘,今之良鑒也。湯武染乎伊呂,其興勃然;辛癸染乎推崇,其亡忽焉。朋友師傅,尤宜精簡。必取寒素徳行之士,以清苦自立,以不群見憚者。其経術如仲舒桓栄者,強直若龔遂王吉者,能朝夕講論忠孝之至道,正色証存亡之軌跡,以洗濯垢涅,閑邪矯枉,宜必抑情遵憲法,入徳訓者矣。
書き下し
先哲は高きに居りて、敢えて危うきを忘れず、子を愛しては之に義方を教えんと欲し、雕琢切磋して、邪偽を納れず。明師を選びて以て之を象り成し、良友を択びて以て之を漸染せしめ、之を督するに博覧を以てし、之に示すに成敗を以てし、之をして往を察して以て来を悟り、彼を観て以て此を知らしめ、之を直道の上に駆り、之を検括の中に斂め、懍乎として万仞に跟掛するが若く、栗然として奔に乗りて以て冰を履むが如くならしむ。故に能く多く悔吝を遠ざけ、其の貞吉を保つ。昔、諸竇は遺教の福を蒙り、霍禹は率意の禍を受け、中山・東平は古を好むを以て安く、燕剌は面墻に由りて危うし。前事忘れざるは、今の良鑑なり。湯武は伊呂に染まりて、其の興ること勃然たり。辛癸は推崇に染まりて、其の亡ぶること忽焉たり。朋友師傅は、尤も精簡すべし。必ず寒素徳行の士の、清苦を以て自ら立ち、不群を以て憚らるる者を取る。其の経術は仲舒・桓栄の如く、強直は龔遂・王吉の若き者、能く朝夕に忠孝の至道を講論し、正色して存亡の軌跡を証し、以て垢涅を洗濯し、邪を閑ぎ枉を矯むれば、宜しく必ず情を抑えて憲法に遵い、徳訓に入るべし。
現代語訳
昔の賢人は高い位にいても危うさを忘れず、子を愛するときは、これに正しい道を教えようとし、玉を彫り磨くように切磋して、邪や偽りを受け入れさせなかった。優れた師を選んで型にはめ、良い友を選んで次第に染めさせ、広く書物を読むよう督励し、成功と失敗の事例を示し、過去を察して将来を悟らせ、あちらを観てこちらを知らせ、まっすぐな道に追い立て、規則の枠の中に収め、万仞の崖にかかとを掛けて立つように身を引き締め、暴走する馬車に乗って薄氷を踏むように震えさせた。だから多くの悔いや恥を遠ざけ、正しさと吉を保てた。昔、竇氏の諸人は遺された教えの福を受け、霍禹は気ままに振る舞った禍を受け、中山王や東平王は古を好んだことで安泰であり、燕の剌王は学問をせず壁に向かうような無学ゆえに危うくなった。前事を忘れないことは、今日の良い鏡である。湯王・武王は伊尹・呂尚に染まって、その興隆は勢いよく、桀・紂は推哆・崇侯らに染まって、その滅亡はあっという間だった。友人や師傅はとくに厳選すべきである。必ず、貧しい家の出で徳行ある士で、清貧と苦労の中で身を立て、群れないことを憚られるほどの者を取る。経術は董仲舒や桓栄のように、剛直は龔遂や王吉のようで、朝夕に忠孝の至上の道を講じ、顔つきを正して存亡の軌跡を証し、汚れを洗い清め、邪を防ぎ曲がりを正せば、その者は必ず情を抑えて法に従い、徳の教えに入るはずである。
解説
この章句が説くこと
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抱朴子外篇・崇教而るに又、之に加うるに四時の請会、祖送慶賀を以てし、数を思うの密客を要え、贄を執るの嘉賓に接す。人間の務め、密勿として罔極なり。是を以て雅正は稍遠ざかり、遨逸は漸く篤し。其の儒学を去ること、緬乎として邈かなり。能く独り崇替の理を見、自ら淪溺の中より抜け、敗徳の険途を舎てて、長世の大道を履む者は、良に甚だ鮮なり。嗟乎、此れ国を保ち家を安んずる者の至って稀にして、傾撓し泣血する者の無算なる所以なり。今、聖明上に在り、古を稽え物を済い、堤防を堅くして以て決溢を杜ぎ、褒貶を明らかにして以て勧沮を彰らかにす。想うに宗室公族、及び貴門の富年は、必ず当に競って儒術を尚び、藝文を撙節し、老荘の意の急ならざるを釈て、六経の正道を精しくすべし。
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『和俗童子訓』巻之一・総論上位高く身豊なれば、民の苦人の愁を知らず、人の費我が費をもいとはず。おごりに習ひては、人をあはれむ心も薄くなる。又さほど高き品にのほらざれども、時に合ひ勢に乗りては、つねの心を失ひ、人に無礼を行ひ、物のあはれを知らず、人の情をも忘れて、言ふまじき事をもいひ、なすまじき事をもなす事こそあさましけれ。幼き時より、古の事を知れるおとなしく正しき人をえらび用ひて、師とし友とし、早く学問をつとめさせ、身を修め人を治むる古の道を教へて、善を行はしめ、悪を戒むべし。よき人をえらびて、もし其人にあらずんば、師とすべからず。既に師とせば、是を尊び敬ひ、其教を受けしむべし。又身の養飲食などのつつしみをも教ふべし。左右近習の人を能くえらびて、質朴にて忠信なる人をなれ近づかしむべし。
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抱朴子外篇・行品夫れ物に似て実は非なる有り、然るが若くして然らざる有り。之を料りて惑う無く、形を望みて神を得るは、聖者も其れ将に諸れを病みとせんとす、況んや常人をや。故に才を用い士を取り、昵しみを推して友を結ぶには、精しく択ばざる可からず、詳らかに試みざる可からず。若し乃ち性行の惑変、始めは正しくして終わりは邪なる、王莽の初めは伊・霍より美にして、晩には趙高より劇しきが若きは、又中才の能く逆め尽くす所に非ず。若し士をして別ち易からしむること、鷦鷯の鴻鵠に於ける、狐兔の龍麟に於けるが如くならしめば、則ち四凶は堯朝に官たるを得ず、管・蔡は宗周を幾んど危うくするを得ず、仲尼に澹台の失無く、延陵に捐金の恨み無く、伊尹に七十の労無く、項羽に範を嫌うの悔い無からん。患うる所は、其の石武石夫の瑾瑜を乱し、鷦螟の鳳皇に似、凝冰の水精に類し、煙熏の雲気かと疑うが如き、故に謬らざる者をして鮮からしむ。惟れ帝すら之を難しとす、矧んや近人をや。
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