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抱朴子外篇 / 逸民

「夫山之金玉,水之珠貝,雖不在府庫之中,不給朝夕之用,然皆君之財也。退士不居肉食之列,亦猶山水之物也,豈非國有乎?許由不竄於四海之外,四皓不走於八荒之表也。故曰:萬邦黎獻,共惟帝臣。幹木不荷戈戍境,築壘疆場,而有蕃魏之功。今隱者潔行蓬蓽之內,以詠先王之道,使民知退讓,儒墨不替,此亦堯舜之所許也。昔夷齊不食周粟,鮑焦死於橋上,彼之硁硁,何足師表哉?

新字:「夫山之金玉,水之珠貝,雖不在府庫之中,不給朝夕之用,然皆君之財也。退士不居肉食之列,亦猶山水之物也,豈非国有乎?許由不竄於四海之外,四皓不走於八荒之表也。故曰:万邦黎献,共惟帝臣。幹木不荷戈戍境,築塁疆場,而有蕃魏之功。今隠者潔行蓬蓽之内,以詠先王之道,使民知退譲,儒墨不替,此亦堯舜之所許也。昔夷斉不食周粟,鮑焦死於橋上,彼之硁硁,何足師表哉?

書き下し

「夫れ山の金玉、水の珠貝は、府庫の中に在らず、朝夕の用に給せずと雖も、然れども皆君の財なり。退士は肉食の列に居らざるも、亦た山水の物の猶し、豈に国有に非ざらんや。許由は四海の外に竄れず、四皓は八荒の表に走らず。故に曰く、万邦の黎献、共に惟れ帝臣なりと。干木は戈を荷いて境を戍らず、塁を疆場に築かざるも、而も蕃魏の功有り。今、隠者は行いを蓬蓽の内に潔くし、以て先王の道を詠じ、民をして退譲を知らしめ、儒墨替えざらしむ。此れ亦た堯舜の許す所なり。昔、夷斉は周の粟を食らわず、鮑焦は橋の上に死せり。彼の硜硜たるは、何ぞ師表とするに足らんや。

現代語訳

『山にある金玉や水にある珠貝は、国の蔵に入っておらず、朝夕の用には間に合わないが、それでもみな君の財である。退いた士が肉食の高官の列に連ならなくても、山水の産物と同じで、国のものでないはずがない。許由は四海の外に隠れていたわけではなく、四皓は八方の果てまで走り去ったわけでもない。だから「万国の優れた民は、みな帝の臣である」というのだ。段干木は戈を担いで国境を守ることも、砦を国境に築くこともなかったが、魏を守る功績があった。いま隠者は蓬の戸の内で行いを清くし、先王の道を詠じて、民に退いて譲ることを知らしめ、儒家と墨家の教えを絶やさない。これも堯舜が許すところである。昔、伯夷と叔斉は周の粟を食べず、鮑焦は橋の上で死んだ。あの頑なな行いは、どうして模範とするに足ろうか。

解説

隠者を山の金玉や水の珠貝に喩え、府庫に入っていなくても国の財だと言う比喩が、この段の核心です。「退士は肉食の列に居らざるも、亦た山水の物の猶し」と、官に就かないことと国に属さないことを切り分けます。さらに段干木の例で、戦わずとも守りに貢献する働きを示します。一方で、最後に伯夷・叔斉や鮑焦のような極端な不仕官を「硜硜」と退け、隠者擁護にも節度を持たせています。何事も極端に走れば模範にならないという着地です。組織でも、制度の外にいる人の知見や関係性は財産ですが、極端に孤立した人まで抱え込む必要はない、という距離感の参考になります。

この章句が説くこと

退士は肉食の列に居らざるも亦た山水の物の猶し干木は戈を荷いて境を戍らず何ぞ師表とするに足らんや財産外部

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