抱朴子外篇 / 嘉遁
「昔箕子睹象箸而流泣,尼父聞偶葬而永嘆,蓋尋微以知著,原始以見終。然而暗夫蹈機不覺,何前識之至難,而利欲之彌篤邪!周成賢而信流言,公旦聖而走南楚,托鴟鸮以告悲,賴金縢以僅免。況能寤之主,不世而一有;不悅之謗,無時而蹔乏。德不以激烈風而起斃禾,事不以載圭璧而稱多才,嗟泣靡及,宜其然也。「夫漸漬之久,則膠漆解堅;浸潤之至,則骨肉乖析;塵羽之積,則沈舟折軸;三至之言,則市虎以成。故江充疏賤,非親於元儲,後母假繼,非密於伯奇;而掘梗之誣,滅父子之恩;袖蜂之誑,破天性之愛。又況其他,安可自必。嗟乎!伍員所以懷忠而漂屍;悲夫!白起所以秉義而刎頸也。蓋徹鑒所為寒心,匠人之所眩惑矣。
新字:「昔箕子睹象箸而流泣,尼父聞偶葬而永嘆,蓋尋微以知著,原始以見終。然而暗夫蹈機不覚,何前識之至難,而利欲之弥篤邪!周成賢而信流言,公旦聖而走南楚,托鴟鸮以告悲,頼金縢以僅免。況能寤之主,不世而一有;不悦之謗,無時而蹔乏。徳不以激烈風而起斃禾,事不以載圭璧而称多才,嗟泣靡及,宜其然也。「夫漸漬之久,則膠漆解堅;浸潤之至,則骨肉乖析;塵羽之積,則沈舟折軸;三至之言,則市虎以成。故江充疏賤,非親於元儲,後母仮継,非密於伯奇;而掘梗之誣,滅父子之恩;袖蜂之誑,破天性之愛。又況其他,安可自必。嗟乎!伍員所以懐忠而漂屍;悲夫!白起所以秉義而刎頸也。蓋徹鑒所為寒心,匠人之所眩惑矣。
書き下し
「昔、箕子は象箸を睹て流涕し、尼父は偶葬を聞きて永嘆す。蓋し微を尋ねて以て著を知り、始めを原ねて以て終わりを見るなり。然れども暗夫は機を蹈みて覚らず。何ぞ前識の至って難くして、利欲の弥々篤き邪。周の成は賢にして流言を信じ、公旦は聖にして南楚に走る。鴟鸮に托して悲しみを告げ、金縢に頼りて僅かに免る。況んや能く寤る主は、世に一たびも有らず、悦ばざるの謗りは、時として蹔くも乏しきこと無し。徳は烈風を激して斃禾を起こすを以てせず、事は圭璧を載せて才多きを称するを以てせず。嗟泣して及ぶ靡きは、宜なり其の然るや。夫れ漸漬の久しきときは、則ち膠漆も堅きを解く。浸潤の至れば、則ち骨肉も乖析す。塵羽の積もれば、則ち舟を沈め軸を折る。三至の言あれば、則ち市虎も以て成る。故に江充は疏賤にして元儲に親しきに非ず、後母は仮継にして伯奇に密なるに非ず。而るに掘梗の誣いは父子の恩を滅ぼし、袖蜂の誑きは天性の愛を破る。又況んや其の他をや、安んぞ自ら必とす可けんや。嗟乎、伍員の忠を懐きて屍を漂わす所以、悲しいかな、白起の義を秉りて頸を刎ぬる所以なり。蓋し徹鑑も寒心する所為にして、匠人の眩惑する所なり。
現代語訳
「昔、箕子は象牙の箸を見て涙を流し、孔子は人形を用いた埋葬を聞いて深く嘆いた。これは微かな兆しをたどって大きな結末を知り、始まりを推して終わりを見たからである。ところが愚かな者は罠を踏んでも気づかない。先を見通すことはなんと難しく、利欲はなんと深いことか。周の成王は賢明でありながら流言を信じ、周公旦は聖人でありながら南の楚へ逃れた。鴟鴞の詩に托して悲しみを告げ、金縢の書のおかげでかろうじて難を免れた。まして目覚める君主は一代に一人もいないほどで、人の不快を招く誹りはほんのしばらくも絶えることがない。徳があっても烈風を起こして倒れた稲を立て直すことはできず、物事は圭や璧を捧げたところで才の多さを証し立てられるわけではない。嘆き泣いても間に合わないのは、当然である。長く浸み込むと、膠や漆でさえ固いつなぎが解け、じわじわと染みるものが至れば、肉親でさえ引き裂かれる。塵や羽も積もれば舟を沈め車軸を折り、三度告げられれば市場に虎がいるという話さえ成り立つ。だから江充は遠く疎い人間で皇太子の親しい人ではなく、継母は仮の親で伯奇に親しくはなかった。それなのに、掘り出された木の人形という誣告は父子の恩を断ち、袖の蜂という偽りは生まれつきの愛を壊した。ましてそれ以外の場合は、自分は大丈夫だと言い切れようか。ああ、伍子胥が忠を抱きながら屍を川に流されたのも、悲しいかな、白起が義を守りながら首をはねられたのも、この類である。この道理は、よく見る眼力のある者さえ寒気を覚え、名工さえも惑わせるものだ」。
解説
この章句が説くこと
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