詩経 / 国風・陳風・防有鵲巣
《防有鵲巢》,憂讒賊也。宣公多信讒,君子憂懼焉。 防有鵲巢,邛有旨苕。誰侜予美?心焉忉忉! 中唐有甓,邛有旨鷊。誰侜予美?心焉惕惕。
新字:《防有鵲巣》,憂讒賊也。宣公多信讒,君子憂懼焉。 防有鵲巣,邛有旨苕。誰侜予美?心焉忉忉! 中唐有甓,邛有旨鷊。誰侜予美?心焉惕惕。
書き下し
防有鵲巣(ぼうゆうじゃくそう)は、讒賊(ざんぞく)を憂うるなり。宣公(せんこう)多く讒を信じ、君子憂懼(ゆうく)す。 防(つつみ)に鵲(かささぎ)の巣有り、邛(おか)に旨き苕(ちょう)有り。誰か予(わ)が美(よきひと)を侜(あざむ)く、心焉(ここ)に忉忉(とうとう)たり。 中唐(ちゅうとう)に甓(へき)有り、邛に旨き鷊(げき)有り。誰か予が美を侜く、心焉に惕惕(てきてき)たり。
現代語訳
「防有鵲巣」の詩は、讒言をして人を傷つける者を憂えたものである。陳の宣公が多くの讒言を信じたので、君子たちは憂え恐れたのである。 土手にかささぎの巣があるなどと、丘においしい苕(のえんどう)が生えているなどと言う。誰が私のいとしい人をたぶらかしているのか、心は憂いに沈む。 庭の中の道に瓦が敷かれているなどと、丘においしい鷊(ちがや草)が生えているなどと言う。誰が私のいとしい人をたぶらかしているのか、心はおびえて落ち着かない。
解説
土手にかささぎの巣、丘に水辺の草、庭の道に瓦、と本来あるはずのない場所にあるものを並べ、ありえない作り話で「いとしい人」をたぶらかす者がいる、と憂える詩である。かささぎは木に巣を作り、苕は湿地に生えるので、いずれも根拠のない言葉のたとえと解されている。毛詩序は、陳の宣公が讒言を多く信じたため、君子が憂え恐れた詩と読む。一方、朱熹は、男女の間に誰かが割って入り、恋人を惑わすのではないかと憂える歌と読み直した。どちらの読みでも、中心にあるのは、第三者の言葉によって大切な関係が壊されることへの不安である。ありえない話ほど、くり返されると信じられてしまう。噂や中傷に心を乱された経験のある人なら、この短い詩の「忉忉」「惕惕」という胸騒ぎに覚えがあるだろう。
この章句が説くこと
詩経陳讒言噂恋
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