秘本玉くしげ / 下 権門の威
又訴訟にかぎらず、万の事に權門がかりのすぢは、取さばく役人の甚迷惑なるものにて、これ大なる國政の妨となる事あり。されば何事によらず、權門の威を以て押す事は、又下下まで主人に權威をふるひて無理非道のふるまひをすまじき旨、常にきびしく制せらるべく、又諸役人いささかも權門を憚りて不正の判斷などをなすまじき旨をも命ぜらるべき也。此事は古より異國にも本朝にもつねにあるならひにて、誰もなく合點はしたることなれども、とかく止がたきもの也。
新字:又訴訟にかぎらず、万の事に権門がかりのすぢは、取さばく役人の甚迷惑なるものにて、これ大なる国政の妨となる事あり。されば何事によらず、権門の威を以て押す事は、又下下まで主人に権威をふるひて無理非道のふるまひをすまじき旨、常にきびしく制せらるべく、又諸役人いささかも権門を憚りて不正の判断などをなすまじき旨をも命ぜらるべき也。此事は古より異国にも本朝にもつねにあるならひにて、誰もなく合点はしたることなれども、とかく止がたきもの也。
書き下し
又訴訟にかぎらず、万の事に権門がかりのすぢは、取さばく役人の甚迷惑なるものにて、これ大なる国政の妨となる事あり。されば何事によらず、権門の威を以て押す事は、又下々まで主人に権威をふるひて無理非道のふるまひをすまじき旨、常にきびしく制せらるべく、又諸役人いささかも権門を憚りて不正の判断などをなすまじき旨をも命ぜらるべき也。此事は古より異国にも本朝にもつねにあるならひにて、誰もなく合点はしたることなれども、とかく止がたきもの也。
現代語訳
また訴訟に限らず、万事において権門(権勢ある家)がかりの筋は、取りさばく役人のはなはだ迷惑するもので、これは大きな国政の妨げとなることがある。だから何事によらず、権門の威をもって押し通す事は(慎ませ)、また下々に至るまで、主人の権威をかさに着て無理非道の振る舞いをしてはならない旨を常に厳しく制止なさるべきであり、また諸役人がいささかも権門をはばかって不正な判断などをしてはならない旨をも命じられるべきである。この事は昔から異国にも本朝にも常にある習わしで、誰もが承知していることであるけれども、とかくやめがたいものである。
解説
この章句が説くこと
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