導師導古典を学びたいすべての人に

碧巌録 / 第一百則

垂示云。收因結果。盡始盡終。對面無私。元不曾說。忽有箇出來道一夏請益為什麼不曾說。待爾悟來向爾道。且道為復是當面諱却。為復別有長處。試舉看。

新字:垂示云。収因結果。尽始尽終。対面無私。元不曽説。忽有箇出来道一夏請益為什麼不曽説。待爾悟来向爾道。且道為復是当面諱却。為復別有長処。試舉看。

書き下し

垂示に云く、因を収め果を結び、始を尽くし終を尽くす。対面して私無く、元来曾て説かず。忽ち箇有りて出で来りて道はん、「一夏請益するに、什麼と為てか曾て説かざる」と。爾が悟り来るを待ちて爾に向かつて道はん。且く道へ、為復た是れ当面に諱却するか、為復た別に長処有りや。試みに挙す看よ。

現代語訳

垂示に言う。因を収めて果を結び、始めから終わりまで尽くした。面と向かって私心はなく、もともと一度も説いていない。もし誰かが出てきて「一夏のあいだ教えを請うたのに、なぜ一度も説かなかったのか」と言うなら、君が悟ってくるのを待って君に言おう。さて言ってみよ、これは面と向かって言うのを避けたのか、それとも別に長所があるのか。試みに挙げてみるから見よ。

解説

これは碧巌録最後の第一百則、巴陵の「吹毛剣」に圜悟が掲げた垂示である。百則を講じ終える圜悟は、因を収め果を結び、始めから終わりまで尽くしたと言いながら、もともと一度も説いていないと言い切る。一夏の間教えを請うたのになぜ説かなかったのかと問われれば、悟ってから言おうと答える。それは言うのを避けたのか、別に長所があるのかと、最後まで読者に問いを返すのである。本当に大事なことは言葉で渡せず、受け手が自ら悟ったときにだけ届く。指導や引き継ぎでも、教えたつもりと伝わったことの違いを心に留めておきたい。

この章句が説くこと

元不曽説一夏垂示言葉悟り指導

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る