碧巌録 / 第九十一則
垂示云。超情離見。去縛解粘。提起向上宗乘。扶竪正法眼藏。也須十方齊應八面玲瓏。直到恁麼田地。且道還有同得同證同死同生底麼。試舉看。
新字:垂示云。超情離見。去縛解粘。提起向上宗乗。扶竪正法眼蔵。也須十方斉応八面玲瓏。直到恁麼田地。且道還有同得同証同死同生底麼。試舉看。
書き下し
垂示に云く、情を超え見を離れ、縛を去り粘を解く。向上の宗乗を提起し、正法眼蔵を扶竪するには、也た須らく十方斉しく応じ、八面玲瓏たるべし。直に恁麼の田地に到らば、且く道へ、還た同得同証、同死同生底有りや。試みに挙す看よ。
現代語訳
垂示に言う。情念を超え、見解を離れ、束縛を取り去り、こびりついたものを解き放つ。向上の宗旨を掲げ、正法眼蔵を支え立てるには、十方すべてに等しく応じ、八方どこから見ても透き通っているのでなければならない。まさにそのような境地に至ったとして、さて言ってみよ、ともに得てともに証し、ともに死にともに生きる者がいるかどうか。試みに挙げてみるから見よ。
解説
これは第九十一則「塩官犀牛扇子」に圜悟が掲げた垂示である。情を超え見を離れるとは、好き嫌いや思い込みから一度自由になることを言う。そのうえで十方に応じ八面玲瓏であれとは、どの方向から問われても曇りなく応じられる柔らかさを求めている。最後の「同得同証、同死同生」は、問う者と答える者が同じ地平に立てるかを問う一句である。本則では侍者や四人の禅僧が塩官の問いにどう応じたかが試される。仕事でも、自分の見解に縛られず相手の問いの真意に全身で応じられるかが、信頼の分かれ目になる。
この章句が説くこと
超情離見八面玲瓏垂示自由分別悟り
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