碧巌録 / 第八十一則
垂示云。攙旗奪鼓。千聖莫窮。坐斷誵訛。萬機不到。不是神通妙用。亦非本體如然。且道。憑箇什麼。得恁麼奇特。
新字:垂示云。攙旗奪鼓。千聖莫窮。坐断誵訛。万機不到。不是神通妙用。亦非本体如然。且道。憑箇什麼。得恁麼奇特。
書き下し
垂示に云く、旗を攙り鼓を奪ふ、千聖も窮むる莫し。誵訛を坐断す、万機も到らず。是れ神通妙用にあらず、亦た本体如然に非ず。且く道へ、箇の什麼に憑りてか、恁麼の奇特を得る。
現代語訳
垂示にいう。敵の旗を奪い取り、太鼓を奪う。そのはたらきは千人の聖者でも究め尽くせない。入り組んだ迷いをどっかと坐って断ち切る。どんな機略もそこには届かない。これは神通力の妙なるはたらきでもなく、また本体がもとからそうであるというのでもない。さあ言ってみよ、いったい何に依って、これほど並外れたはたらきが得られるのか。
解説
第八十一則の冒頭に圜悟が置いた垂示である。敵陣の旗と鼓を奪うという戦場の比喩で、相手の主導権を一瞬で奪い取る禅者の機鋒を示している。しかも圜悟は、それは神通力でもなく、もともと備わった本性だからでもないと、ありがちな説明を二つとも退ける。では何に依るのかと問いを投げたまま、答えは本則の藥山に委ねている。仕事でも、相手の主導権を握る場面で「才能だから」「経験だから」と片づけると、肝心の一瞬の判断が見えなくなる。その場で何に依って動いているのかを自分に問うことが、この垂示の要である。
この章句が説くこと
垂示機鋒公案自由分別攙旗奪鼓
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