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碧巌録 / 第三十一則

垂示云。動則影現。覺則氷生。其或不動不覺。不免入野狐窟裏。透得徹信得及。無絲毫障翳。如龍得水似虎靠山。放行也瓦礫生光。把定也真金失色。古人公案。未免周遮。且道評論什麼邊事。試舉看。

新字:垂示云。動則影現。覚則氷生。其或不動不覚。不免入野狐窟裏。透得徹信得及。無糸毫障翳。如竜得水似虎靠山。放行也瓦礫生光。把定也真金失色。古人公案。未免周遮。且道評論什麼辺事。試舉看。

書き下し

垂示に云く、動ずれば則ち影現じ、覚すれば則ち氷生ず。其れ或いは動ぜず覚せざれば、野狐窟裏に入ることを免れず。透得徹し信得及すれば、糸毫の障翳無く、龍の水を得たるが如く、虎の山に靠るに似たり。放行すれば瓦礫も光を生じ、把定すれば真金も色を失ふ。古人の公案も、未だ周遮なることを免れず。且く道へ、什麼辺の事をか評論する。試みに挙し看ん。

現代語訳

垂示にいう。動けばその影が現れ、気づけば氷が生じる。かといって動かず気づかずにいれば、野狐の穴ぐらに落ちこむことを免れない。徹底して突き抜け、心底から信じきれば、毛筋ほどの障りも曇りもなく、龍が水を得たように、虎が山を背にしたようになる。手放して自由にさせれば瓦礫さえ光を放ち、しっかり押さえこめば純金さえ色を失う。古人の公案も、まわりくどさを免れてはいない。さて言ってみよ、どのあたりの事を論じているのか。試みに取り上げてみよう。

解説

第三十一則の冒頭に置かれた圜悟の垂示である。動けば跡が残り、意識すれば固まる。かといって何もしなければ野狐の穴に落ちるという、身動きのとれない状況をまず突きつけている。そのうえで、徹底して見抜き信じきった人は龍が水を得たように自在であり、放せば瓦礫も光り、押さえれば真金も色を失うと説く。これから挙げる麻谷の公案を読む構えを整える一段である。仕事でも、動けば批判され、動かなければ停滞するという板挟みは多い。どちらかを選ぶ前に、自分が本当に腹落ちしているかを問うことが先だと教えている。

この章句が説くこと

垂示放行把定自由無心公案野狐窟

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