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兵法家伝書 / 新陰流外物進履橋側へ寄る物

側へ寄ル物に心の付所之事 一 側へよる物の義、人は不及申に、何にても心の付所是も前に同じ。或は犬猫にてもまいるものは何とぞ我左へ置候心もち肝要にて候。人は不及沙汰けだものにても右に置候て飛縣り候へば驚候儀も候て見苦敷物にて候。左に置候へば右程は無之候。是も右に置候はゞ不叶時節は何程の敵にても右に置心持に油斷有間敷左右の心持第一。

新字:側へ寄ル物に心の付所之事 一 側へよる物の義、人は不及申に、何にても心の付所是も前に同じ。或は犬猫にてもまいるものは何とぞ我左へ置候心もち肝要にて候。人は不及沙汰けだものにても右に置候て飛県り候へば驚候儀も候て見苦敷物にて候。左に置候へば右程は無之候。是も右に置候はゞ不叶時節は何程の敵にても右に置心持に油断有間敷左右の心持第一。

書き下し

側へ寄ル物に心の付所之事 一 側へよる物の義、人は不及申に、何にても心の付所是も前に同じ。或は犬猫にてもまいるものは何とぞ我左へ置候心もち肝要にて候。人は不及沙汰けだものにても右に置候て飛縣り候へば驚候儀も候て見苦敷物にて候。左に置候へば右程は無之候。是も右に置候はゞ不叶時節は何程の敵にても右に置心持に油斷有間敷左右の心持第一。

現代語訳

側へ寄る物に心の付け所のこと。一、側へ寄る物について、人はもちろん、何であっても心の付け所は、これも前に同じ。あるいは犬や猫であっても、寄って来るものは、何としても自分の左に置く心持ちが肝要である。人は言うまでもなく、獣であっても右に置いて飛びかかられれば、驚くこともあって見苦しいものである。左に置けば、右ほどではない。これも右に置かなければならない時節は、どれほどの敵でも右に置く心持ちに、油断があってはならない。左右の心持ちが第一である。

解説

自分の側に寄ってくるものを、どちらに置くかという心得です。相手が人でも犬猫でも、できれば自分の左に置く心持ちが肝要で、右に置いて飛びかかられれば驚いて見苦しいが、左ならそれほどではないと述べます。ただし、右に置かなければならない場合は、どんな敵でも右に置く心持ちで油断してはならず、左右の心持ちが第一だとして、一方に固定しない姿勢を示します。小さな動物まで例に出すのは、心得の対象が敵に限られないからです。現代の職場でも、相手や状況によって、自分が優位に立てる位置関係は変わります。常に同じ立ち位置に頼らず、どちらの側にも構えを移せる柔らかさが、不意の事態への備えになります。

この章句が説くこと

左右立ち位置寄る物不意油断兵法家伝書

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