兵法家伝書 / 活人劔神妙劔の座にはづれぬ・見る三段
一 足ぶみも身のあてがひも神妙劔の座にはづれぬ様にすべし、立あはぬさきから此心がけ、わするべからず 一 神妙劔見る事三段の分別 心にて見る事を根本とす、心から見てこそ目も付べき物なれ、しかれば目にて見るは、心の次也、目にて見て其次に身足手にて見るべし、身足手にて見るとは、敵の神妙劔に、我が身足手のはづれぬ様にするを身足手にて見ると云也、目にて見るは目にて見む爲也、目にて見るは足手を敵の神妙劔の座にあてんと云事也
新字:一 足ぶみも身のあてがひも神妙剣の座にはづれぬ様にすべし、立あはぬさきから此心がけ、わするべからず 一 神妙剣見る事三段の分別 心にて見る事を根本とす、心から見てこそ目も付べき物なれ、しかれば目にて見るは、心の次也、目にて見て其次に身足手にて見るべし、身足手にて見るとは、敵の神妙剣に、我が身足手のはづれぬ様にするを身足手にて見ると云也、目にて見るは目にて見む為也、目にて見るは足手を敵の神妙剣の座にあてんと云事也
書き下し
一 足ぶみも身のあてがひも神妙劔の座にはづれぬ様にすべし、立あはぬさきから此心がけ、わするべからず 一 神妙劔見る事三段の分別 心にて見る事を根本とす、心から見てこそ目も付べき物なれ、しかれば目にて見るは、心の次也、目にて見て其次に身足手にて見るべし、身足手にて見るとは、敵の神妙劔に、我が身足手のはづれぬ様にするを身足手にて見ると云也、目にて見るは目にて見む爲也、目にて見るは足手を敵の神妙劔の座にあてんと云事也
現代語訳
一 足の踏み方も身の当て方も、神妙劔の座から外れないようにせよ。立ち合う前から、この心がけを忘れてはならない。 一 神妙劔を見ることの三段の分別。心で見ることを根本とする。心から見てこそ目も付くものであるから、目で見るのは心の次である。目で見て、その次に身・足・手で見よ。身・足・手で見るとは、敵の神妙劔に、自分の身・足・手が外れないようにすることを、身・足・手で見ると言うのである。目で見るのは、目で見るためである。目で見るとは、足や手を敵の神妙劔の座に当てようということである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『兵法家伝書』活人劔「神妙劔」一 神妙劔之事 附リ座の心懸身に取足にとる事 右神妙劔至極の大事也、神身に神妙劔とさす所あり、わが身にありては、神妙劔の劔の字を劔の字に書てしるべし、右にかまへても、左にかまへても、太刀神妙劔の座をはなれぬ程に劔と云字に心あり、又敵の身にありては、劔の字を見の字に書て心得べし、此神妙劔の座をよく見て、切りこむ程に見る所が簡要也、然ば見の字に心あり
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『兵法家伝書』活人劔「水月・神妙劔・病氣・身手足の分別」一 水月神妙劔病氣身手足此四の分別 一 水月は立合ノ場の座取也 一 神妙劔は身の內の座取也 一 身手足は 一 敵のはたらきを見る 我身のはたらき 一 去病は手利劔を見む爲也 右しかれば極る所と、手利劔の有無を見る事專一なり、四は大體也、病をさる手利劔見む爲也、病ひさざれば、かならず病にとられて見そこなふなり、見そこなへば負なり、病とは、心の病也、心の病とは心のそこ〱にとまるを云也、心を一太刀うつた所にとゞめぬ様にすべし、心をすてゝすてぬ也
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『兵法家伝書』活人劔「神妙二字の釋」一 神妙二字之釋 神在內而妙顯於外名爲神妙、神妙の二字の心を述べたり、神內に有て妙外に顯る、是を神妙と名付る也、たとへば一本の木に內に木の神ある故に、花さき匂ひみどり立、枝葉しげるなり、是を妙と云、木の神は木をくだきても、是ぞ神とて目に見へねども、神なくは花綠も外にあらはるまじき也、人の神も身をさきても是ぞ神とて目には見へねども、內に神あるによりて樣々のわざをなす也、神妙劔の座に神をすゆる故に樣々の妙が手足にあらはれて、軍に花をさかする也、心の爲には主人也、神が內にありて心を外へ遣ふ也、此心又氣を召つかふ也、氣をめしつかひ、神の爲に外にかける此心が一所に逗留すれば、用がかくる也、しかるによりて、心を一所に留めぬ様にするが簡要の事也、たとへば、人の主人內に居て下人を餘所へ使にやるに、行さきにとゞまりてかへらねば、用がかくるがごとく也、心が物にとゞまりて、本の位にかへらねば、兵法の手前がぬくる也、此故に心を一所にとめぬ事兵法のみにあらず、万事に涉る事也
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『兵法家伝書』活人劔「場をとる」一 敵のかまへ、太刀先き、我が方へむかはゞ、あぐる所につけてうつべし 一 敵をうつとおもふて我身をうたすべし、敵が我をうちさへすれば、敵をばうつた物也 一 水月の場をとれ、夫より心持を專にすべし、我場をとらんとするに、敵すでに先に場を取たらば、それをわがにすべし、つもりさへちかはねば、敵がまつて五尺も、我がよつて五尺も、敵と我との間の尺は同じ事也、人が場をとりたらば、とらせて置がよき也、場をとるとかたまりたるはあしゝ、身をうきやかに持べし
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『兵法家伝書』活人劔「是極一刀」一 是極一刀之事 是極とはこれ至極也と云儀也、一刀とは刀に非ず、敵の機を見るを一刀と祕する也、大事の一刀とは、敵のはたらきを見るが無上極意之一刀也、敵の機を見るを一刀と心得、はたらきに隨て打太刀をば、第二刀と心得べし、是を根本にして樣々につかふなり、手利劔・水月・神妙劔・病氣此四ッ手足の働以上五ッ也、是を五觀一見と習なり、手利劔を見る是を一見と云、残り四つをば心に持程に觀と云也、目に見るをば見と云、心に見るを觀と云、心に觀念する儀也、四觀一見といわずして、五觀と云は、おしこめて五觀と云、其內より手利劔を一見と云也、手利劔・水月・神妙劔・病氣身手足此五なり、此內四ッをば心に觀じて眼に手利劔を見るを一見と云也
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『兵法家伝書』活人劔「病氣を去る三・指目の目付」一 病氣を去ル三之事 敵にある病也 神と心との二心得あり 一 指目の目付 拍子の持所之事口傳すべし
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