兵法家伝書 / 活人劔水月・神妙劔・病氣・身手足の分別
一 水月神妙劔病氣身手足此四の分別 一 水月は立合ノ場の座取也 一 神妙劔は身の內の座取也 一 身手足は 一 敵のはたらきを見る 我身のはたらき 一 去病は手利劔を見む爲也 右しかれば極る所と、手利劔の有無を見る事專一なり、四は大體也、病をさる手利劔見む爲也、病ひさざれば、かならず病にとられて見そこなふなり、見そこなへば負なり、病とは、心の病也、心の病とは心のそこ〱にとまるを云也、心を一太刀うつた所にとゞめぬ様にすべし、心をすてゝすてぬ也
新字:一 水月神妙剣病気身手足此四の分別 一 水月は立合ノ場の座取也 一 神妙剣は身の内の座取也 一 身手足は 一 敵のはたらきを見る 我身のはたらき 一 去病は手利剣を見む為也 右しかれば極る所と、手利剣の有無を見る事専一なり、四は大体也、病をさる手利剣見む為也、病ひさざれば、かならず病にとられて見そこなふなり、見そこなへば負なり、病とは、心の病也、心の病とは心のそこ〱にとまるを云也、心を一太刀うつた所にとゞめぬ様にすべし、心をすてゝすてぬ也
書き下し
一 水月神妙劔病氣身手足此四の分別 一 水月は立合ノ場の座取也 一 神妙劔は身の內の座取也 一 身手足は 一 敵のはたらきを見る 我身のはたらき 一 去病は手利劔を見む爲也 右しかれば極る所と、手利劔の有無を見る事專一なり、四は大體也、病をさる手利劔見む爲也、病ひさざれば、かならず病にとられて見そこなふなり、見そこなへば負なり、病とは、心の病也、心の病とは心のそこ〱にとまるを云也、心を一太刀うつた所にとゞめぬ様にすべし、心をすてゝすてぬ也
現代語訳
一 水月、神妙劔、病気、身手足、この四つの分別。 一 水月は、立ち合いの場の座取りである。 一 神妙劔は、身の内の座取りである。 一 身手足は、一 敵の働きを見ること、自分の身の働き。 一 病を去るのは、手利劔を見るためである。以上のとおり、行き着くところは手利劔があるかないかを見ることが第一であり、四つは大体である。病を去るのは手利劔を見るためで、病を去らなければ、必ず病に取られて見そこなう。見そこなえば負けである。病とは心の病である。心の病とは、心がそこここに止まることをいう。心を一太刀打ったところに止めないようにせよ。心を捨てて、捨てないのである。
解説
この章句が説くこと
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『兵法家伝書』活人劔「神妙劔の座にはづれぬ・見る三段」一 足ぶみも身のあてがひも神妙劔の座にはづれぬ様にすべし、立あはぬさきから此心がけ、わするべからず 一 神妙劔見る事三段の分別 心にて見る事を根本とす、心から見てこそ目も付べき物なれ、しかれば目にて見るは、心の次也、目にて見て其次に身足手にて見るべし、身足手にて見るとは、敵の神妙劔に、我が身足手のはづれぬ様にするを身足手にて見ると云也、目にて見るは目にて見む爲也、目にて見るは足手を敵の神妙劔の座にあてんと云事也
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『兵法家伝書』活人劔「神妙劔」一 神妙劔之事 附リ座の心懸身に取足にとる事 右神妙劔至極の大事也、神身に神妙劔とさす所あり、わが身にありては、神妙劔の劔の字を劔の字に書てしるべし、右にかまへても、左にかまへても、太刀神妙劔の座をはなれぬ程に劔と云字に心あり、又敵の身にありては、劔の字を見の字に書て心得べし、此神妙劔の座をよく見て、切りこむ程に見る所が簡要也、然ば見の字に心あり
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『兵法家伝書』活人劔「場をとる」一 敵のかまへ、太刀先き、我が方へむかはゞ、あぐる所につけてうつべし 一 敵をうつとおもふて我身をうたすべし、敵が我をうちさへすれば、敵をばうつた物也 一 水月の場をとれ、夫より心持を專にすべし、我場をとらんとするに、敵すでに先に場を取たらば、それをわがにすべし、つもりさへちかはねば、敵がまつて五尺も、我がよつて五尺も、敵と我との間の尺は同じ事也、人が場をとりたらば、とらせて置がよき也、場をとるとかたまりたるはあしゝ、身をうきやかに持べし
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『兵法家伝書』活人劔「病氣を去る三・指目の目付」一 病氣を去ル三之事 敵にある病也 神と心との二心得あり 一 指目の目付 拍子の持所之事口傳すべし
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『兵法家伝書』活人劔「一去(心のとどまりは病)」一 一去と云心持之事 一 空之心持之事 一 捧心之心持之事 右一去と云心は、數々を一ッに去ルと云心也、數々とは病の數々也、病とは心の病也、心に有ル程の病の數々を一ッにして、はらりと去也、病のかず〱は別の卷にしるす也、凡病とは心のとゞまるを云也、佛法に是を着とて以ノ外きらふ也、心が一所に着しとゞまれば、見る所を見はづし、思の外に負を取る也、心のとゞまるを病と云也、此病の數々を一ッにひつくゝつて去れと云心に、一去と云也、數々の病を一去して、唯一を見はづさぬ樣にと也、
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『兵法家伝書』活人劔「水月」一 水月 附 其影之事 右敵と我との間に凡何尺あれば、敵の太刀我身にあたらぬと云つもりありて、其尺をへだてゝ、兵法を遣ふ此尺のうちへ蹈入りぬすみこみ、敵に近付くを月の水に影をさすにたとへて、水月と云也、心に水月の場を、立あはぬ以前におもひまふけて立あふべし、尺の事は口傳すべし
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