兵法家伝書 / 殺人刀敵待の時の立相目付三ヶ条
一 敵待之時立逢習ひの事 一 二星 一 嶺谷 一 遠山 右三ヶ條は待にとりしめたる敵には、此三ヶ條の目付をはづすべからず、但シ此目付は縣待ともに用る也、此目付簡要也、打こむ時は嶺の目付、切合せ組物との時は、遠山の目付を心によくかくべし、二星は不斷はなれざる目付也
新字:一 敵待之時立逢習ひの事 一 二星 一 嶺谷 一 遠山 右三ヶ条は待にとりしめたる敵には、此三ヶ条の目付をはづすべからず、但シ此目付は県待ともに用る也、此目付簡要也、打こむ時は嶺の目付、切合せ組物との時は、遠山の目付を心によくかくべし、二星は不断はなれざる目付也
書き下し
一 敵待之時立逢習ひの事 一 二星 一 嶺谷 一 遠山 右三ヶ條は待にとりしめたる敵には、此三ヶ條の目付をはづすべからず、但シ此目付は縣待ともに用る也、此目付簡要也、打こむ時は嶺の目付、切合せ組物との時は、遠山の目付を心によくかくべし、二星は不斷はなれざる目付也
現代語訳
敵待の時の立ち合いの習いのこと。一、二星。一、嶺谷。一、遠山。右の三箇条は、待に取り締まった敵には、この三つの目付を外してはなりません。ただし、この目付は懸待のどちらにも用います。この目付は肝要です。打ち込むときは嶺の目付を、切り合いや組み討ちのときは遠山の目付を、心によくかけなさい。二星は、普段から離れない目付です。
解説
待の構えに固まった敵と向き合うときの目付、つまり視線の置き方を三つ挙げた段です。二星、嶺谷、遠山という名が並び、原文は中身を説明せず、打ち込みなら嶺の目付、切り合いや組み討ちなら遠山の目付と、使う場面だけを示します。二星は普段から離れない目付とされ、基本の見方に当たるようです。この目付は懸にも待にも使えるとあり、構えの種類よりも見方の型を先に押さえる発想がうかがえます。細部は口伝に委ねられ、文字から読み取れるのはここまでです。現代の仕事でも、守りに入った相手には、場面ごとに何を見るかを決めておかないと読み違えます。交渉や面談の前に、見る箇所を定めておく習慣に通じます。
この章句が説くこと
目付二星嶺谷遠山待兵法家伝書
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