兵法家伝書 / 殺人刀身と太刀の懸待
一 身と太刀とに縣待の道理ある事 身をば敵にちかくふりかけて、縣になして太刀をば待になして、身足手にて敵の先をおびき出して、敵に先をさせて勝也、こゝを以て、身足は縣に、太刀は待也、身足を縣にするは、敵に先をさせむ爲也
新字:一 身と太刀とに県待の道理ある事 身をば敵にちかくふりかけて、県になして太刀をば待になして、身足手にて敵の先をおびき出して、敵に先をさせて勝也、こゝを以て、身足は県に、太刀は待也、身足を県にするは、敵に先をさせむ為也
書き下し
一 身と太刀とに縣待の道理ある事 身をば敵にちかくふりかけて、縣になして太刀をば待になして、身足手にて敵の先をおびき出して、敵に先をさせて勝也、こゝを以て、身足は縣に、太刀は待也、身足を縣にするは、敵に先をさせむ爲也
現代語訳
一 身と太刀とに懸待の道理があること。身は敵に近くふりかけて懸にし、太刀は待にして、身・足・手で敵の先をおびき出し、敵に先をさせて勝つのである。このことから、身足は懸に、太刀は待とする。身足を懸にするのは、敵に先をさせるためである。
解説
懸待を身体に割り振った段で、身と足は懸、太刀は待とされます。身を敵に近くふりかけて誘い、太刀は構えて待ち、敵に先をさせて勝つという運びです。身足を懸にするのは敵に先をさせるためだと、目的がはっきり述べられています。攻めて見せることが、実は相手の動きを引き出す手段になるという逆説です。現代の組織に置けば、先に動いて見せる部分と、最後の決定を握って待つ部分を分けるやり方があります。たとえば営業が条件を打診して相手の本音を引き出し、契約の可否は慎重に見極めるような場面です。動く部分と控える部分を意図して分けているかを、見直す材料になります。
この章句が説くこと
懸待身と太刀おびき出す先をさせる間合い兵法家伝書
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