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林子平学則 / 附錄三章・附録三章:物に溺れず・家計と酒色

一物を翫へば心を失ふ、己れがすき好む事の一途に流れざる樣に心懸くべし、一金穀の經濟は人々能く了知すべし、大小の祿に應じて家道を約にし、他の力を願はずして朝暮を節し、蓄積を心懸くべし、一飮食男女は人の大慾存す、愼まざるべからざるなり、酒食と婦女には大丈夫も度を失ひて、身を損し、或は義理を缺き、耻辱を取り、不和を生じ等して、終に國家を破るも有り、人々能く謹み愼むべし、

新字:一物を翫へば心を失ふ、己れがすき好む事の一途に流れざる様に心懸くべし、一金穀の経済は人々能く了知すべし、大小の禄に応じて家道を約にし、他の力を願はずして朝暮を節し、蓄積を心懸くべし、一飲食男女は人の大慾存す、慎まざるべからざるなり、酒食と婦女には大丈夫も度を失ひて、身を損し、或は義理を欠き、耻辱を取り、不和を生じ等して、終に国家を破るも有り、人々能く謹み慎むべし、

書き下し

一物を翫へば心を失ふ、己れがすき好む事の一途に流れざる樣に心懸くべし、一金穀の經濟は人々能く了知すべし、大小の祿に應じて家道を約にし、他の力を願はずして朝暮を節し、蓄積を心懸くべし、一飮食男女は人の大慾存す、愼まざるべからざるなり、酒食と婦女には大丈夫も度を失ひて、身を損し、或は義理を缺き、耻辱を取り、不和を生じ等して、終に國家を破るも有り、人々能く謹み愼むべし、

現代語訳

一つ、物をもてあそべば心を失います。自分の好むことの一途に流れないよう心がけるべきです。一つ、金穀(金銭と米穀)の経済は、人々がよく理解すべきです。大小の禄に応じて家のやりくりを倹約にし、他人の力を願わず、朝夕を節し、蓄えを心がけるべきです。一つ、飲食と男女は、人の大きな欲が存するところで、慎まなければなりません。酒食と婦女には、立派な男子も度を失い、身を損ない、あるいは義理を欠き、恥辱を受け、不和を生じるなどして、ついには国家を破ることもあります。人々はよく謹み慎むべきです。

解説

附録の三章は、趣味に溺れて心を失うこと、収入に応じて倹約し蓄えること、酒食と色欲に度を失うことへの戒めです。いずれも欲に流される姿を警戒しています。管理職は、収入が増えるほど生活が膨らむ傾向や、接待の飲食、立場を利用した関係の乱れが、信用と組織を傷つける危険に注意が必要です。節度は、自分を守ると同時に、部下に示す無言の規範です。金銭の公私の区別や、個人の趣味にのめり込みすぎない距離感も、日々点検したいものです。
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この章句が説くこと

『林子平学則』林子平附録節度倹約経済

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