群書治要 / 『群書治要』吳志下・民が主に求める三つの望み
臣聞主之所求於民者二、民之所望於主者三、二謂求其為己勞也。求其為己死也。三謂飢者能食之、勞者能息之、有功者能賞之、民已致其二事、而主失其三望者、則怨心生而功不建、今帑藏不實、民勞役猥、主之二求已備、民之三望未報。
新字:臣聞主之所求於民者二、民之所望於主者三、二謂求其為己労也。求其為己死也。三謂飢者能食之、労者能息之、有功者能賞之、民已致其二事、而主失其三望者、則怨心生而功不建、今帑蔵不実、民労役猥、主之二求已備、民之三望未報。
書き下し
臣聞く、主の民に求むる所の者二、民の主に望む所の者三。二とは其の己の為に労せんことを求め、其の己の為に死せんことを求むるを謂う。三とは飢うる者能く之に食らわしめ、労する者能く之を息わしめ、功有る者能く之を賞するを謂う。民已に其の二事を致して、主其の三望を失う者は、則ち怨心生じて功建たず。今帑蔵実たず、民は労し役は猥し、主の二求は已に備わり、民の三望は未だ報いず。
現代語訳
私は聞いております。君主が民に求めることは二つ、民が君主に望むことは三つあります。二つとは、自分のために働くことを求め、自分のために死ぬことを求めることです。三つとは、飢えた者には食べさせ、疲れた者には休ませ、功のある者には賞する、ということです。民がすでに二つのことを尽くしているのに、君主が三つの望みに応えなければ、怨む心が生じて功は成り立ちません。いま国庫は実らず、民は労苦し、徭役は入り乱れて多く、君主の二つの求めはすでに満たされているのに、民の三つの望みはまだ報われていません。
解説
呉の華覈が、孫皓の宮殿造営や国の備えの乏しさを諫めた上疏の一節です。君主が民に求めることは二つ、働くことと命がけで戦うこと。民が君主に望むことは三つ、飢えた者に食を与え、疲れた者を休ませ、功のある者に賞を与えることだと言い、二つが果たされても三つが報われなければ怨みが生まれて事業は成らないと述べます。現代に置き換えれば、成果と時間を求める側が、報酬、休息、評価という見返りを用意できているかという問いです。求めるものと報いるものの収支を点検する物差しになります。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
華覈二求三望飢者食之労者息之有功者賞怨心
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『淮南子』兵略訓主の民に求むる所の者は二つ。民の之が爲に勞するを求むるなり、民の之が爲に死するを欲するなり。民の主に望む所の者は三つ。饑うる者は能く之を食らわせ、勞する者は能く之を息わせ、功有る者は能く之を德とす。民 以て其の二積を償いて、上 其の三望を失わば、國 大なりと雖も、人 眾しと雖も、兵 猶お且つ弱きなり。若し苦しむ者 必ず其の樂を得、勞する者 必ず其の利を得、斬首の功 必ず全うせられ、死事の後 必ず賞せられ、四つの者 既に民に信ぜられなば、主 雲中の鳥を射て、深淵の魚を釣り、琴瑟を彈じ、鍾竽を聲し、六博を敦くし、高壺に投ずと雖も、兵 猶お且つ強く、令 猶お且つ行わる。是の故に上 仰ぐに足れば、則ち下 用う可きなり。德 慕うに足れば、則ち威 立つ可きなり。
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『管子』法法君に民に於いて三欲有り、三欲節ならざれば、則ち上位危うし。三欲なる者は何ぞや。一に曰く求、二に曰く禁、三に曰く令。求むれば必ず得んと欲し、禁ずれば必ず止まんと欲し、令すれば必ず行われんと欲す。求むること多き者は其の得ること寡なく、禁ずること多き者は其の止まること寡なく、令すること多き者は其の行わるること寡なし。求めて得ざれば則ち威日に損じ、禁じて止まらざれば則ち刑罰侮られ、令して行われざれば則ち下上を凌ぐ。故に未だ能く多く求めて多く得る者有らざるなり、未だ能く多く禁じて多く止まる者有らざるなり、未だ能く多く令して多く行わるる者有らざるなり。故に曰く、上苛なれば則ち下聽かず、下聽かずして彊いるに刑罰を以てすれば、則ち人上為る者衆に謀らると。人上為りて衆之を謀らば、危うき毋からんと欲すと雖も、得可からざるなり。
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