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淮南子 / 兵略訓

主之所求於民者二:求民為之勞也,欲民為之死也。民之所望於主者三:饑者能食之,勞者能息之,有功者能德之。民以償其二積,而上失其三望,國雖大,人雖眾,兵猶且弱也。若苦者必得其樂,勞者必得其利,斬首之功必全,死事之後必賞,四者既信於民矣,主雖射雲中之鳥,而釣深淵之魚,彈琴瑟,聲鍾竽,敦六博,投高壺,兵猶且強,令猶且行也。是故上足仰,則下可用也;德足慕,則威可立也。

新字:主之所求於民者二:求民為之労也,欲民為之死也。民之所望於主者三:饑者能食之,労者能息之,有功者能徳之。民以償其二積,而上失其三望,国雖大,人雖眾,兵猶且弱也。若苦者必得其楽,労者必得其利,斬首之功必全,死事之後必賞,四者既信於民矣,主雖射雲中之鳥,而釣深淵之魚,弾琴瑟,声鍾竽,敦六博,投高壺,兵猶且強,令猶且行也。是故上足仰,則下可用也;徳足慕,則威可立也。

書き下し

主の民に求むる所の者は二つ。民の之が爲に勞するを求むるなり、民の之が爲に死するを欲するなり。民の主に望む所の者は三つ。饑うる者は能く之を食らわせ、勞する者は能く之を息わせ、功有る者は能く之を德とす。民 以て其の二積を償いて、上 其の三望を失わば、國 大なりと雖も、人 眾しと雖も、兵 猶お且つ弱きなり。若し苦しむ者 必ず其の樂を得、勞する者 必ず其の利を得、斬首の功 必ず全うせられ、死事の後 必ず賞せられ、四つの者 既に民に信ぜられなば、主 雲中の鳥を射て、深淵の魚を釣り、琴瑟を彈じ、鍾竽を聲し、六博を敦くし、高壺に投ずと雖も、兵 猶お且つ強く、令 猶お且つ行わる。是の故に上 仰ぐに足れば、則ち下 用う可きなり。德 慕うに足れば、則ち威 立つ可きなり。

現代語訳

主が民に求めるのは二つである。民が自分のために働くことを求め、民が自分のために死ぬことを望む。民が主に望むのは三つである。飢えた者を食べさせ、疲れた者を休ませ、功のある者に報いること。民が二つの積み重ねを返しているのに、上が三つの望みを外していれば、国が大きく人が多くても、兵はやはり弱い。もし苦しむ者が必ず楽を得、働く者が必ず利を得、首を取った功が必ず全うされ、公務に死んだ者の遺族が必ず賞されて、この四つが民に信じられていれば、主が雲の中の鳥を射て深い淵の魚を釣り、琴を弾き鐘や笛を鳴らし、双六に興じ壺投げをしていても、兵はやはり強く、令はやはり行われる。だから上が仰ぐに足りていれば、下を用いることができる。徳が慕うに足りていれば、威を立てることができる。

解説

求めるものが二つ、望まれるものが三つ。この非対称が要点です。「民 以て其の二積を償いて、上 其の三望を失わば……兵 猶お且つ弱きなり」。民は働きと命という二つをすでに払っている。上が三つを返していなければ、規模がいくらあっても弱い。逆に四つが信じられていれば、主が遊んでいても令は通る。信のほうが指揮より先に効く、と。

この章句が説くこと

主の民に求むる所の者は二つ民の之が為に労するを求め民の之が為に死するを欲す民の主に望む所の者は三つ饑うる者は能く之を食らわせ労する者は能く之を息わす民以て其の二積を償いて上其の三望を失わば国大なりと雖も兵猶お且つ弱きなり四つの者既に民に信ぜられなば兵猶お且つ強く令猶お且つ行わる上仰ぐに足れば則ち下用う可きなり信賞

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