古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

群書治要 / 『群書治要』漢書三・功狗と功人の見分け方

蕭何、沛人也。漢殺項羽、即皇帝位、論功行封、羣臣争功、歲餘不决、上以何功最盛、先封為酇侯、食邑八千户。功臣皆曰:臣等身被堅執兵、多者百餘戰、少者數十合、攻城略地、大小各有差、今蕭何未有汗馬之勞、徒持文墨議論不戰、居臣等上、何也。上曰:諸君知獵乎。曰:知之、知獵狗乎。曰:知之。上曰:夫獵、追殺獸者、狗也。而發縱指示獸處者、人也。諸君徒能走得獸耳、功狗也。至如蕭何、發縱指示、功人也。且諸君獨以身從我、多者兩三人、蕭何舉宗數十人皆隨我、功不可忘也。羣臣後皆莫敢言。

新字:蕭何、沛人也。漢殺項羽、即皇帝位、論功行封、羣臣争功、歳余不決、上以何功最盛、先封為酇侯、食邑八千戸。功臣皆曰:臣等身被堅執兵、多者百余戦、少者数十合、攻城略地、大小各有差、今蕭何未有汗馬之労、徒持文墨議論不戦、居臣等上、何也。上曰:諸君知猟乎。曰:知之、知猟狗乎。曰:知之。上曰:夫猟、追殺獣者、狗也。而発縦指示獣処者、人也。諸君徒能走得獣耳、功狗也。至如蕭何、発縦指示、功人也。且諸君独以身従我、多者両三人、蕭何舉宗数十人皆随我、功不可忘也。羣臣後皆莫敢言。

書き下し

蕭何は沛の人なり。漢項羽を殺し、皇帝の位に即き、功を論じて封を行うに、群臣功を争い、歳余決せず。上、何の功最も盛んなるを以て、先ず封じて酇侯と為し、食邑八千戸とす。功臣皆曰く、臣等身に堅を被り兵を執り、多き者は百余戦、少なき者も数十合、城を攻め地を略すること、大小各おの差有り。今蕭何は未だ汗馬の労有らず、徒だ文墨を持して議論し戦わざるに、臣等の上に居るは、何ぞや、と。上曰く、諸君猟を知るか、と。曰く、之を知る、と。猟狗を知るか、と。曰く、之を知る、と。上曰く、夫れ猟は、獣を追い殺す者は狗なり。而して発縦して獣の処を指示する者は人なり。諸君は徒だ能く走りて獣を得るのみ、功狗なり。蕭何の若きに至りては、発縦指示す、功人なり。且つ諸君は独り身を以て我に従うのみ、多き者も両三人。蕭何は宗数十人を挙げて皆我に随う。功忘るべからざるなり、と。群臣後に皆敢えて言う莫し。

現代語訳

漢が項羽を倒し、高祖が皇帝の位につき、功績を論じて恩賞を与える段になると、群臣は功を争い、一年あまり決まりませんでした。高祖は蕭何の功が最も大きいとして、まず酇侯に封じ、八千戸の領地を与えました。功臣たちは言いました。「私たちは身に鎧を着て武器を執り、多い者は百余戦、少ない者でも数十戦を戦い、城を攻め地を奪いました。大小それぞれに差はありますが、蕭何は戦場の働きもなく、ただ文書を扱って議論していただけなのに、私たちの上に置かれるのはなぜですか。」高祖は言いました。「諸君は狩りを知っているか。」「知っています。」「猟犬を知っているか。」「知っています。」高祖は言いました。「狩りで獣を追って殺すのは犬だ。だが、犬を放って獣のいる場所を指し示すのは人だ。諸君は走って獲物を捕らえただけの、手柄を立てた犬だ。蕭何は、犬を放って獲物の場所を指し示した、手柄を立てた人だ。それに諸君はひとりで私に従っただけで、多くても二、三人だ。蕭何は一族数十人を連れてすべて私に従った。その功は忘れてはならない。」群臣はそれ以後、誰もあえて口を開きませんでした。

解説

漢の高祖が論功行賞で、戦場の将より後方の蕭何を第一とした場面の言葉です。猟で獣を追うのは犬だが、獲物の居場所を指さして犬を放つのは人だ、と高祖は例えました。蕭何は一族数十人を率いて従った点も評価されました。『漢書』の蕭何伝にあります。現場で数字を上げる人が目立つ一方、仕組みを整え、人を配置し、補給を絶やさない人の働きは見えにくいものです。管理職は、前線の成果だけでなく、それを支える役割を正当に評価できているかを問われます。
『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る

この章句が説くこと

蕭何功人功狗論功行賞後方支援高祖

関連する章句

本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円本を見る