群書治要 / 『群書治要』周易・徳薄く位尊きの危うさ
子曰:德薄而位尊、知小而謀大、力小而任重、鮮不及矣。易曰:鼎折足、覆公餗、其形渥、凶、言不勝其任也。
新字:子曰:徳薄而位尊、知小而謀大、力小而任重、鮮不及矣。易曰:鼎折足、覆公餗、其形渥、凶、言不勝其任也。
書き下し
子曰く、徳薄くして位尊く、知小にして謀大に、力小にして任重きは、及ばざること鮮し。易に曰く、鼎足を折り、公の餗を覆し、其の形渥たり、凶なり、と。其の任に勝えざるを言うなり。
現代語訳
孔子は言いました。徳が薄いのに地位が高く、知恵が小さいのに大きなことを企て、力が小さいのに重い任に当たる。こうした者は、たいてい力が及ばずに終わります。易に「鼎の足が折れて、君主へのごちそうをひっくり返し、その身は汚れてしまう。凶である」とあるのは、その任に耐えられないことを言っているのです。
解説
『易経』繋辞伝に出る、分不相応な任に就く危うさへの戒めです。鼎は三本足の大きな祭器で、足が折れれば君主への供え物をひっくり返してしまいます。徳の薄い者が高位に就き、知恵の小さい者が大事を企て、力の小さい者が重責を負えば、たいてい力及ばずに終わると説きます。能力のない人を責める言葉というより、任命する側にも向く警句でしょう。抜擢や昇進のとき、本人の実力と役割の大きさが釣り合っているかを見る視点になります。釣り合わないなら、任せ方や支え手を先に整えることで、足の折れる事態を防げます。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
徳薄位尊任重鼎折足分不相応抜擢適材
関連する章句
-
易経・繋辞下子曰く、「徳薄くして位尊く、知小にして謀ること大に、力小にして任重ければ、及ばざること鮮なし。易に曰く、『鼎、足を折り、公の餗を覆す。其の形渥たり、凶』とは、其の任に勝えざるを言うなり」と。子曰く、「幾を知るは其れ神なるか。君子は上に交わりて諂わず、下に交わりて瀆れず。其れ幾を知れるか。幾なる者は動の微、吉の先ず見るる者なり。君子は幾を見て作ち、日を終うるを俟たず。易に曰く、『石よりも介し。日を終えず、貞にして吉』と。介きこと石の如し。寧んぞ日を終うるを用いん、断じて識るべし。君子は微を知り彰を知り、柔を知り剛を知る。万夫の望みなり」と。
-
群書治要・『群書治要』管子・地位を徳と功と能に合わせる君の審らかにする所の者は三。一に曰く、徳、其の位に当たらず。二に曰く、功、其の禄に当たらず。三に曰く、能、其の官に当たらず。此の三本は、治乱の原なり。故に国に徳義の未だ朝に明らかならざる者有らば、則ち尊位に加うべからず。功力の未だ国に見われざる者は、則ち重禄を与うべからず。事に臨みて民に信ならざる者は、則ち大官を任ぜしむべからず。故に徳厚くして位卑き者、之を過と謂い、徳薄くして位尊き者、之を失と謂う。寧ろ君子に過つとも、小人に失すること無かれ。君子に過てば、其の怨みと為ること浅し。小人に失すれば、其の禍と為ること深し。
-
荀子・儒効篇故に能小にして事大なるは、之を辟うるに是れ猶お力の少なくして任の重きがごときなり、粹折を舎きて適く無し。身不肖にして賢を誣うるは、是れ猶お傴の伸びて高きに升るを好むがごときなり、其の頂を指す者愈々衆し。故に明主は徳を譎りて位を序するは、乱れざるを為す所以なり。忠臣は誠に能くして然る後に敢えて職を受くるは、窮せざるを為す所以なり。分は上に乱れず、能は下に窮せず、治弁の極みなり。詩に曰く、平平たる左右、亦た是れ率い従う、と。是れ上下の交わりの相い乱れざるを言うなり。
-
群書治要・『群書治要』周易・安きに居て危うきを忘れず子曰く、危うき者は、其の位に安んずる者なり。亡ぶる者は、其の存を保つ者なり。乱るる者は、其の治を有つ者なり。是の故に君子は安けれども危うきを忘れず、存すれども亡ぶるを忘れず、治まれども乱るるを忘れず。是を以て身安くして国家保つべきなり。易に曰く、其れ亡びなん其れ亡びなんとして、苞桑に繋ぐ、と。
-
三略・中略主は以て徳無かるべからず、徳無ければ則ち臣叛く。以て威無かるべからず、威無ければ則ち権を失ふ。臣は以て徳無かるべからず、徳無ければ則ち以て君に事ふる無し。以て威無かるべからず、威無ければ則ち国弱し、威多ければ則ち身蹶く。
-
『塩鉄論』毀學篇文學曰く、聖主は官を設けて以て任を授く、能なる者之に處る、祿を分かちて以て賢に任ず、能なる者之を受く。義に貴きは高きこと無く、義に取るは多きこと無し。故に舜は堯の天下を受け、太公は周の三公を避けず、茍くも其の人に非ざれば、簞食豆羹すら猶お賴民と為すなり。故に德薄くして位高く、力少なくして任重ければ、及ばざること鮮なし。夫れ泰山の鴟の腐鼠を窮澤幽谷の中に啄むは、人に害有るに非ざるなり。今の有司は、主の財を盜みて之を刑法の旁らに食らう、機の是れ發するを知らず、又た以て人を嚇す、其の患い惡くんぞ泰山の鴟の若きを得んや。