導師導古典を学びたいすべての人に

五常訓 / 巻之五・智

一孟子の眸子を見るも知人の術なり。眸子とは、人の目のひとみなり。ひとみは人の惡をおほひがたし。人の胸中正しければ眸子明なり。胸中正しからざれば、眸子くらし。人の言の邪正を聞き、又、人の眸子を見れば、其人の心中の邪正かくれなし。言は猶も僞を以てよくすべし。眸子はかくす事かたければ、是人を知るの術なり。人の知愚、邪正、貪廉、才不才、壽夭、貴賤も、皆眼目にあらはる。眼は是五藏精萃のあつまる所心性の先あらはるゝ所なればなり。

新字:一孟子の眸子を見るも知人の術なり。眸子とは、人の目のひとみなり。ひとみは人の悪をおほひがたし。人の胸中正しければ眸子明なり。胸中正しからざれば、眸子くらし。人の言の邪正を聞き、又、人の眸子を見れば、其人の心中の邪正かくれなし。言は猶も偽を以てよくすべし。眸子はかくす事かたければ、是人を知るの術なり。人の知愚、邪正、貪廉、才不才、寿夭、貴賤も、皆眼目にあらはる。眼は是五蔵精萃のあつまる所心性の先あらはるゝ所なればなり。

書き下し

一孟子の眸子を見るも知人の術なり。眸子とは、人の目のひとみなり。ひとみは人の悪をおほひがたし。人の胸中正しければ眸子明なり。胸中正しからざれば、眸子くらし。人の言の邪正を聞き、又、人の眸子を見れば、其人の心中の邪正かくれなし。言は猶も偽を以てよくすべし。眸子はかくす事かたければ、是人を知るの術なり。人の知愚、邪正、貪廉、才不才、寿夭、貴賤も、皆眼目にあらはる。眼は是五蔵精萃のあつまる所心性の先あらはるる所なればなり。

現代語訳

孟子が眸子(ひとみ)を見るというのも、人を知る術です。眸子とは人の目のひとみです。ひとみは人の悪を覆い隠しにくいのです。人の胸の中が正しければ、ひとみは明らかです。胸の中が正しくなければ、ひとみは暗いのです。人の言葉の邪正を聞き、また人のひとみを見れば、その人の心中の邪正は隠れようがありません。言葉はそれでも偽りでよく見せることができます。ひとみは隠すことが難しいので、これが人を知る術なのです。人の知愚・邪正・貪廉・才不才・寿夭・貴賤も、皆眼に表れます。眼は五臓の精華が集まるところで、心性がまず表れるところだからです。

解説

孟子離婁上篇の「人に存する者は眸子より良きは莫し」を踏まえ、言葉と目を合わせて見れば人の心中の邪正は隠れないと説きます。言葉は偽って飾れても、目は隠しにくいというわけです。さらに眼は五臓の精が集まるところだという医学の見方を添えているのが、医学に通じた益軒らしいところです。人相見のように目だけで人を断じるのは行き過ぎですが、話の内容と表情や態度が一致しているかに注意を払うことは、面談や交渉で相手を理解するうえで今も役に立ちます。

この章句が説くこと

知人孟子眸子人物観察

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る